「絶対に不可能」といわれていたリンゴの無農薬栽培に挑戦した木村秋則さんの実話「奇跡のリンゴ−『絶対不可能』を覆した農家・木村秋則の記録」(幻冬舎)が映画化されることになり、主人公の秋則さんを阿部サダヲさん、妻の美栄子さんを菅野美穂さんが演じることが明らかになった。足かけ11年、貧困や周囲の圧力にも屈せず世界初のリンゴの無農薬栽培を成功させた秋則さんを演じることについて、阿部さんは「“世界で初めて”を成功させて、今現在もご活躍の方を演じる! そんな経験ないです! たくさん研究して試して、共演者、スタッフの方々と大事に育てて、すてきな“秋則”を作りたいと思っています」と意気込んでいる。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
「奇跡のリンゴ」は、日本最大のりんご生産地・青森県を舞台に、絶対不可能といわれていた「りんごの無農薬栽培」を成功させた木村さんの実話を石川拓治さんが著したノンフィクション書。婿養子としてリンゴ農家の木村家に入ることになった秋則さんは、農業もリンゴも初めてだった。しかし、農薬で体がむしばまれた妻の異変がきっかけで、無農薬栽培への挑戦を決意。私財をなげうち挑戦を続けたが、約10年奇跡のリンゴは実ることはなかった。追い詰められた秋則が自殺を決意したそのとき、荒れ果てた山野に果実を実らせた一本の樹を見つけて……という物語。NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられたほか、関連本が8冊出版されるなど大きな話題を呼んだ。
映画は、原作をベースに、映画「ゴールデンスランバー」「チーム・バチスタの栄光」などで知られる中村義洋監督がメガホンをとる。脚本を「岳」「Life 天国で君に逢えたら」の吉田智子さんと中村監督が担当し、音楽を北野武さんの映画やスタジオジブリ作品でも知られる久石譲さんが手がける。撮影は4月中旬~6月中旬と秋冬に実景を撮影予定といい、青森県弘前市の全面協力でオール弘前ロケを行う。
自身の両親が岩手県のリンゴの生産地出身という菅野さんは、「なにか縁をいただいたようにも感じています。津軽魂ではありませんが、東北魂で頑張りたい」と気合十分。木村さんの妻役については、「素直でやさしく猪突(ちょとつ)猛進の木村さんを受け止め、温かく見つめるのが務めだと思っています」と役作りについて語った。
中村監督は、阿部さんについて「実際に秋則さんがよくいう『バカになれ』という言葉や、劇中の『バカだからなーんも分かんねえのよ!』というせりふにあるような、“底抜けのリンゴバカ”を演じていただくには、この人の持っているわけの分からない力強さしかないと思いオファーさせていただきました」と起用理由について説明。秋則さんは「『とにかくあきらめないで』というメッセージが映画を通じてたくさんの皆さんに伝わることを祈っています」とコメントを寄せている。映画は13年公開予定。(毎日新聞デジタル)
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