阿部サダヲ:宮藤官九郎脚本は「一言目から過激」 「不適切にもほどがある!」で“昭和の駄目オヤジ”に

ドラマ「不適切にもほどがある!」で小川市郎を演じる阿部サダヲさん(C)TBS
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ドラマ「不適切にもほどがある!」で小川市郎を演じる阿部サダヲさん(C)TBS

 阿部サダヲさん主演、宮藤官九郎さん脚本の連続ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系、金曜午後10時)が1月26日に始まる。ドラマは、阿部さん演じる昭和の駄目オヤジ・小川市郎がひょんなことから現代へタイムスリップするヒューマンコメディー。「一言目から過激」だったという宮藤さんの脚本についてや、ドラマの見どころについて、阿部さんに話を聞いた。

ウナギノボリ

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 --宮藤さんの脚本を読んだ感想を教えてください。

 一言目から過激でした(笑い)。でもだからこそ、すごくおもしろいなと思いましたね。近年、テレビでも何でも、“やりたいけれどできない”ということが増えてきている気がしていたので、やりがいがある作品だと思いました。この作品を見てくださった皆さんの感想も聞きたい。皆さんの反応がすごく楽しみです。

 --不安と期待、どちらが大きいですか?

 不安より楽しみが大きいですね。僕は脚本の宮藤さんと同じ年齢。同じ時代を生きてきたので、宮藤さんが描きたい世界観はすごくよく分かります。現代であれば描くことが難しい設定やセリフも、(19)86年を舞台にすればできる。宮藤さん、うまいこと考えたなと思いました。

 書きやすいんですかね、撮影始まって4日しか経っていない段階で、第6話まで台本がありましたから(笑い)。ただ一方で、視聴者の中にはまったく昭和を知らない人もいらっしゃると思います。そういう方たちもきっと興味を持てる作品だと思うので楽しみにしていただきたいです。

 --改めて、阿部さんが演じる小川市郎はどんなキャラクターですか?

 中学校の体育教師で野球部顧問。超スパルタで“地獄のオガワ”なんて呼ばれて、生徒たちから恐れられています。僕は学生時代に野球部にいたので、この設定を聞いてまず、自分の野球部時代の顧問を思い出しました。

 平成・令和生まれの皆さんはびっくりすると思うんですけれど(笑い)、本当に熱血、いやスパルタ指導をする先生がいたんですよ!

 --竹刀を持って校内を巡回している先生など(苦笑)。今思い返せば、先生方も加減はわかったうえでやっていたんですが……。

 そうです、そうです。なぜたたかれたのか、殴られたのか……本当に意味が分からないと、今でも思います。“お前は見掛け倒しだ!”なんて言われましたし(苦笑)。当時から本当に失礼なことを言うなとは思っていましたけれど、そういう人のことや言葉ってすごくよく覚えているんですよね。しかも何十年も経っているのに、意味が分からなくておもしろい。

 今回は、学生時代にお世話になった先生方のキャラクターを生かしたいと思います。今ここにきて、厳しい指導を経験しておいてよかったなって思っています(笑い)。

 --外見も参考にされているのでしょうか?

 80年代に流行していたテクノカットヘアにしています。このテクノカットには思い出がありまして。僕が通っていた中学校は1学年14クラスと生徒数が多かったこともあり、生徒を校則で縛ることが多かったんです。なかには“気にしすぎでしょ”っていうものもあって。とくに“野球部は5厘刈り坊主”なのに“テクノカット禁止”というもの。先生方の目に僕たちの髪型はどう映っていたんだろうなと思います(笑い)。

 --市郎には、河合優実さん演じる一人娘・純子がいます。

 市郎は妻を病気で亡くしているので、純子と2人で暮らしています。非行に走る娘に手を焼いていて、表面的には言い合っている場面も多いですね。でも、そういう親子ほど絆が深いかもしれない。とにかくいつも娘のことを考えていて、つねに心配しているんです。言葉遣いは粗いですが、それは深い愛情があっての発言だと思います。

 宮藤さんが描く親子って、言葉遣いが粗暴で喧嘩していたりしていたけれど、深い絆でつながっていることが多いですよね。深く信頼し合っているからこその乱暴さなのかもしれません。僕たちも今回の作品で、そういう絆を見せていきたいですね。

 --ドラマのなかで市郎は、昭和と令和の間を行き来します。86年といえば阿部さんは16歳でしたが、台本や本読みから懐かしさを感じますか?

 どのシーンも懐かしさを感じますね。ただキャストもスタッフも、半分ぐらいの人は分かってないんだろうなと思っています(笑い)。多分、ムッチ先輩を演じる磯村勇斗くんもギリギリですよね。ムッチ先輩があこがれるアイドルの歌を歌うシーンがあるんですが、本読みのときはピンときてなかったんじゃないかな。でも、迷いながらやってるところを見るのが、すごく楽しいですね。

 河合(優実)さんはカセットテープデッキの使い方が分からないって言っていました。どうやってカセットをイジェクトする(取り出す)かも分からないという人たちと一緒に芝居をするということ自体に、おかしみを感じます。

 深夜のテレビ番組は、16歳なので楽しみにしていましたよ。いまの子たちは多分、ネットとかで覚えるんだと思いますが、僕たちの時代は情報を得るのはテレビと雑誌くらいしかなかったですからね。

 --見どころを最後にお願いします。

 1986年からの38年間で、いろいろな出来事が起こったんだということが分かる作品です。当時まだ生まれていない人にはこういう時代があって今があるということを知っていただけるきっかけになると思いますし、僕と同世代以上の皆さんが見たら懐かしく楽しめると思います。いろいろな世代、家族で一緒に観ても楽しんでいただける作品だと思いますのでぜひ皆さんでご覧ください。

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