松坂慶子:「らんまん」のタキを語る 厳しく怒るシーンの撮影日は「真っすぐ歩けないくらいへとへとになっていた」

NHK連続テレビ小説「らんまん」の一場面 (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「らんまん」の一場面 (C)NHK

 神木隆之介さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」(総合、月~土曜午前8時ほか)は6月26日から始まる第13週で前半のクライマックスを迎える。万太郎(神木さん)と寿恵子(浜辺美波さん)の結婚を認めた祖母のタキ(松坂慶子さん)は自身の年齢や病気のこともあり、祝言を急がせる。これまで酒蔵「峰屋」を女手一つで切り盛りし、愛情深く孫の万太郎や綾(佐久間由衣さん)を育ててきたタキについて、演じる松坂さんが語った。

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 ◇愛情深い女性的な第1回の初登場シーンは大事に演じた

 タキは万太郎の祖母で、夫と一人息子に先立たれたため、高知の酒蔵「峰屋」を長年切り盛りしてきた、曲がったことが許せない正しく強い性格の女性。最近は病で床に伏せることが多くなった。

 松坂さんは、出演が決まり、「ドラマの舞台の高知は日照時間も長くておおらかな土地柄だと思ったので、厳しい中にも、高知の人の、“はちきん”(男勝りの女性を指す土佐弁)らしい明るさ、勝負強くて快活で気のいい性格で負けん気が強い、ちゃきちゃきのおかみ、という感じでスタートできればと思いました」と振り返った。

 台本を読んで、「タキさんの時代はコロリが襲った直後の時代でしたが、この3年間のコロナで大変だったので、現代との合せ鏡的なところもありますね」と思いをはせ、「タキさんは家を支えていかないといけないという勝ち気で厳しいところと、情のあるところと、両方がうそではなくて両立し、拮抗して、というふうになるといいと思いました。どんなに厳しいことを言っても愛情にひもづいていることで、何としても家を守るという役柄」とタキのキャラクターを分析。

 中でもタキが登場するシーンは「愛情深い女性的なところが第1回の初登場シーンで仏壇に手を合わせるところだけで、あとは叱っている厳しいシーンばかりだったので、最初のシーンは大事に演じました」と語る。

 「万太郎は病弱で本当に立派に成長するのか心配だし、重い気持ちも抱えながらやっている1週目、2週目だったのですが、出来上がった作品を見るとオープニングの自然や、神木さんの明るさや快活さ、全体の造りがとても朝ドラらしくて。見てくださる方が、タキさんを怖がらないで、受け入れてくださって本当に良かったと思いました」と手応えを語った。

 ◇三山ひろしが「前室でけん玉を教えていた」

 主演の神木さんら共演者については、「神木さんは、みんながいい気持ちで仕事場にいて、いい集中の仕方ができるような雰囲気作りを常にしてくださっていました」といい、「綾を演じる佐久間由衣さんも、とても土佐ことばも一生懸命やっていらして、本当に役を生きているという感じがしました」と印象を語る。

 高知の呉服商「仙石屋」の主人、浜村義兵衛を演じた演歌歌手の三山ひろしさんについて、「さすが演歌の実力のある方だなあと、とても通る声で寿恵子さんの着物を選ぶのにも、堂々としていらして印象的でしたね。それと、みんなで前室でけん玉を教えていただいて、認定証もいただいたんですよ」とエピソードを明かす。

 峰屋の番頭・市蔵役の小松利昌さんは「とても大きなお声で『よろしゅう』と言っていらして、最初のころは競うように大きな声でやっていましたね。タキさんは第12週以降になると年も取って病気もあって弱ってくるんだけど、市蔵さんが私の分まで活気づけてくださるのが、楽しいというかおかしかったですね」と話した。

 松坂さんは、タキを演じる際、「私自身は、どちらかというと、昨年放送のあった、土曜ドラマ『一橋桐子の犯罪日記』で演じた桐子さんのほうが近いと思うんです(笑い)。今回は自分とは全く違う役柄を演じなければいけなくて、厳しく怒るシーンの撮影の日なんか、帰っても真っすぐ歩けないくらいへとへとになっていましたね」と意外な苦労もあったという。

 だが、「家族や子供に先立たれて、そしてまた自分も大事な人を残して逝(い)く、という経験は自分にはないんだけれども、自然と切なさが分かって無理なく演じられたのが不思議でした。やはり脚本の力や演出家のアドバイスのおかげですね」と話している。

 「らんまん」は、高知県出身の植物学者で、「日本の植物学の父」と言われる牧野富太郎の人生をモデルとしたオリジナルストーリー。

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