三石琴乃:「物語を作る一員でいられるのがうれしい」 「グレイズ・アナトミー」メレディス“卒業回”はナレーションも必聴

「グレイズ・アナトミー」でメレディスの吹き替えを担当する三石琴乃さん
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「グレイズ・アナトミー」でメレディスの吹き替えを担当する三石琴乃さん

 大病院で働く人々の成長や恋愛を描く米ドラマ「グレイズ・アナトミー」の第19シーズンが、6月7日からWOWOWで放送・配信される。シリーズ当初からの中心人物であるメレディス・グレイ(エレン・ポンピオさん)が、レギュラーから降板することも話題の本シーズン。そんなメレディス役の吹き替えを担当する声優の三石琴乃さんに、決まった当時の思い出や演じ続ける中での変化、レギュラー降板を聞いての思いや見どころ、近年のドラマ出演について聞いた。

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 ◇「大納得で素晴らしい」“卒業回”

 三石さんはメレディス役が決まった当初、「表情や言葉の勢いなどわからない部分もあり、つかみづらい役でした」と苦戦していたことを明かし、「シーズンを重ねていく中で、だんだん一緒に歩いている感覚をつかめました」と振り返る。

 メレディスについて、「とことんひねくれているけど才能はある。ただその才能は、自分のトラウマにもなっている母の遺伝子のお陰と、厄介なことを抱えた大変な女性」と捉えていたが、「同期のレジデントとの出会いや、デレクとの結婚生活を通じ、傷つきながら助けられながら、人に深く共感できるようになった」と変化を語る。

 本シーズンでメレディスが“卒業”するが、「毎年、エレン・ポンピオさんの『私はもう十分やったわ』という言葉が日本にも届いていたので、シーズン継続を聞いてうれしい気持ちもありつつ、どんなふうに去っていくか興味が湧いた」と口にし、「台本を読み、激しく共感、大納得で素晴らしい。シナリオがすごい!」と絶賛する。

 さらに「どうして去るのかはまだ内緒」とするも、「降板回のナレーションも素晴らしい」とアピール。「今までのシーズンを踏襲したようなメッセージや、直近で手術した児童作家の話の文言と思わせつつ、メレディスの人生を語っている。そして『皆さん幸せに暮らしましたとさ』では終われない、その先のことも語っています。誰もが共感できる言葉だと思うので、ぜひ聞いていただきたい」と力を込める。

 ◇ドラマ出演は「パンドラの箱開けちゃった」

 外画(海外作品)の吹き替えとアニメの声を演じる上での違いを聞くと、三石さんは「アニメの場合、デフォルメした映像表現が多く、合わせて強弱含め画よりもさらに上の芝居をしないと画が浮き上がってこないので、そういうアプローチをしています」と話し、「外画の場合は生身の俳優さんのお芝居の呼吸や息づかいを大事に取り組んでいます」と説明する。

 そんな三石さんは、連続ドラマ「リコカツ」「Get Ready!」(ともにTBS系)にレギュラー出演したほか、2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(総合)への出演も決まるなど、近年は実写ドラマにも出演。ドラマと声の仕事に関して「お話を作っていくプロセスが違います」と実感したという。

 「声優も根本的に同じ俳優ですが、(声優は)尺の決まったVTRに声を当て、ドラマは役として芝居をしたら、このシーンに何分という調整は VTR ができ上がってから監督が編集で作るものなのかな」と体験に基づきアプローチの違いを分析。そして、「ドラマを見る目が変わった。ピュアにお話として見ていたので(撮影の裏側は)衝撃の出来事ばかり。パンドラの箱を開けちゃった感はあります」と言って笑う。

 活動を支える原動力を聞くと、「物語を作る一員でいるのがものすごくうれしい」という答えが。「客観的に説明できるようになったのは最近。昔は何でもいいからせりふをしゃべりたいと思っていたけど、何がうれしいのかなと思ったらそこでした」といい、「物語の一員になれる機会があるならうれしいと思って取り組んでおります」と語った。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

 ※「グレイズ・アナトミー」シーズン19はWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドで6月7日から毎週水曜午後11時から二カ国語版、字幕版が毎週木曜午後10時から放送。第1話は無料放送される。

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