細谷佳正:西村純二×押井守のアニメ「火狩りの王」 「リアリティがあるSF」 熟練した炉六の冷静さを意識

「火狩りの王」で炉六を演じる細谷佳正さん(C)日向理恵子・ほるぷ出版/WOWOW
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「火狩りの王」で炉六を演じる細谷佳正さん(C)日向理恵子・ほるぷ出版/WOWOW

 日向理恵子さんの長編ファンタジー小説シリーズが原作のオリジナルアニメ「火狩りの王」が2023年1月14日からWOWOWで放送・配信される。同作は“火”をテーマにしたファンタジーで、「SAMURAI DEEPER KYO」などの西村純二さんが監督を務め、「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー the Movie」などの押井守さんが構成、脚本を担当。人類最終戦争後の世界を舞台に、子供たちが多くの困難に直面しながらも懸命に生きる姿が描かれる。謎が多い火狩りの炉六(ろろく)役の細谷佳正さんは、同作の魅力を「リアリティがあるSF」と表現する。収録の裏側、作品の見どころについて聞いた。

ウナギノボリ

 ◇謎が多い炉六の魅力 感情が出ないからこそバランスを大事に

 --炉六を演じることが決まった時の気持ちは?

 押井守さんが構成、脚本、音響監督に若林和弘さんが関わっている、西村純二監督の作品なので、自分の中では高級感のある作品というイメージがありました。そんな作品でメインキャラクターを任せてもらえたのは素直にうれしかったです。

 --炉六の印象、魅力は?

 炉六は、謎が多い火狩りという設定があって、それを魅力的に感じます。ほかのキャラクターは出自について語られていたりするんですけど、炉六は“流れ者”の火狩りで、所在が明らかにされていないというところも魅力に感じます。何を考えているのかを表情から読み取りづらいところとか、落獣を狩るということに関してエキスパートだというところも、視聴者が気になる魅力じゃないかと思います。

 --炉六を演じる上で意識していることは?

 煌四を守りながら落獣を狩るシーンがあり、せりふに「!」が書いてあって、激しくせりふを言う印象があったんですけど、それをしない方が経験値の高い、熟練した火狩りのエキスパートだという雰囲気を感じてもらえるだろうと思いました。炉六が危機感を感じる必要がないというか。意識しているとしたら、心拍数が上がらない常に冷静な感じ、だと思います。煌四と燠火家の内情とか、政治的なことに巻き込まれていく時に、例えば動揺だったり、個人的な感情を表に出すということは、生き延びる上で不利だと思うし、他人に情報を与えないようにしているんだと思います。ただ、全く感情が出ないからといってロボットみたいにしてしまったら、視聴者はつまらないと思うので、自分の中ではバランスを取ってやっているつもりでいます。

 ◇設定や世界観も単純ではないからこその面白さ

 --「火狩りの王」の見どころや注目ポイントは?

 1回文明が滅んだ後に火を使おうとしても火を使えないという設定が、「とんでもなく現実離れしたファンタジーではない」というか。もしかしたらあり得るかもしれない世界観なんですね。理屈で考えるとあり得るかもという、ある意味でリアリティーがあるSFっていうんですかね? そこに、個人的にですけど、押井守さんらしさを感じました。何度かの滅亡を迎えたことを視聴者に感じさせないまま物語が展開するので、楽しんでもらえると思います。

 --放送を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。

 最近の多くのアニメは、ファッションのように若い方に広く受け入れられているエンターテインメントの一つだと思います。一方でショート動画の流行は、長編作品を見るのが大変という人も多いということだと思います。そんな中で、「火狩りの王」は、設定や世界観も単純ではないし、視聴者が、積極的に見るという姿勢を取らなければ、物語の面白さを感じづらい作品だと思います。僕が若い頃に見ていた押井さんの作品に漂っていた「一見さんお断り」みたいな雰囲気はあるとは思うんですけど、そういう作品も面白いんだということを伝えていける作品だと思います。魅力的なキャストがたくさん出演していますし、今あるたくさんの作品とは少し違って、見れば見るほど面白さが増していく作品だと思うので、ぜひ注目してもらえたらうれしいです。

 「火狩りの王」は、2023年1月14日から毎週土曜午後10時半にWOWOWプライムで放送される。第1話は無料放送。動画配信サービス「WOWOWオンデマンド」で配信もされる。

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