鈴木おさむ:4年ぶりドラマ復帰の小出恵介「かなりの覚悟」 「酒癖50」オファーの背景明かす

俳優の小出恵介さんが主演を務めるABEMAオリジナルドラマ「酒癖50」のワンシーン(C)AbemaTV,Inc
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俳優の小出恵介さんが主演を務めるABEMAオリジナルドラマ「酒癖50」のワンシーン(C)AbemaTV,Inc

 酒によってあぶり出される人間の本当の弱さや愚かさを描くABEMAオリジナルドラマ「酒癖50(フィフティ)」(木曜午後10時)。酒の恐ろしさを教える主人公の酒野聖(さけの・せい)を演じるのは、今作で4年ぶりのドラマ復帰を果たした俳優の小出恵介さんだ。今作の脚本を手がけ、小出さんのロングインタビューも行った鈴木さんは、「この脚本を読んで出てくるというのはかなりの覚悟を持ってやっている。本当に人生をここにかけているのは感じました」と小出さんの印象を語る。鈴木さんに、小出さんにオファーすることになった背景を聞いた。

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 ◇小出恵介は「忘れられない役者の一人」

 ドラマは、小出さん演じる「Hate Alcohol Firm」に勤める酒野聖が主人公。酒野は、とある企業の社長から、“酒癖が悪いワースト50”の社員を集め、彼らに“あるビデオ”を見せることで、お酒の恐ろしさを理解してもらうというプログラム「Hate Alcholプログラム」の依頼を受ける。しかし、プログラム受講後も懲りることなくお酒を飲み続けた参加者は、とんでもない“最悪の結末”を迎え……という内容。

 毎話登場する酒の問題をそれぞれ抱える参加者を、解決に導いていこうとする酒野。「実は、最初のABEMAとの会議で、『(酒野役に)小出君とかびっくりするキャスティングだ』ってぽろっと言って。たしかに世の中もびっくりするって思ったんですけど、あくまでもその場の思いつきのアイデアという感じがあった」と振り返った鈴木さん。

 その後、他の俳優のキャスティングも検討したというが、「普通に落ち着いてしまうような気がして。このドラマの目的というところでいくと、小出恵介という人がやることのインパクトは絶対すごい。インパクトが強い分、注目はされるし、注目される分、すごく力強いものが作れるんじゃないかなと思って……」と続ける。

 小出さんは、鈴木さんの原作小説を映画化した「ボクたちの交換日記」(2013年)にも出演しており、「すごく忘れられない役者の一人だったので、声をかけてみようということになったんです」とオファーの背景を明かす。

 ◇気持ちを持ち続けた小出恵介

 2017年6月に活動休止。その後、2年半にわたり米ニューヨークで生活をしていたという小出さん。ニューヨークでは、語学学校に通った後、演技の学校を2校“かけもち”。演技教師であるサンフォード・マイズナーによる演技論「マイズナーテクニック」を学んだと「MANTANWEB」のインタビューで明かしていた。

 また、今作のオファーを受けたときのことについて、「連ドラで主役をやらせていただくことが務まるのかという不安があり、やるかどうか悩みました」と明かしつつも、東京とニューヨークをつないだリモート会議の中で制作チームから激励を受け、今作への出演を決めたと話していた。

 そんな小出さんにオファーしたときの様子について、鈴木さんは「俳優で居続けること、気持ちを切らさないことはとても大変だと思うんです。正直、会うまでは不安もあったんですけど、ぱっと見たときにいい顔をしていて、かっこよかった。それですごく安心してよかった、って思ったんです」と振り返る。

 8月12日午後11時からは、鈴木さんによる小出さんへのインタビューなどを収録したドキュメンタリー「Re:START~小出恵介 4年目の告白~」の後編が、「ABEMAプレミアム」で配信される。このインタビューで、小出さんは「休んでいる間に、自分にいつ声がかかってもいいように気持ちを作っていて、すごく大変だった」と話していたといい、鈴木さんは「やっぱりな、と思ったんですよ。小出君を見た瞬間に『あ、いけるな』と思いました」と明かす。

 また、ロケで撮影している際、自身に向けられた一般人からの目についても語っているといい、「自分に向けられる口元と目が、自然とニヤリとしている。でもそれが今の自分の立ち位置、という話が印象的で。ここまで言ってくれることがすごいと思った」と話す。

 ◇「失敗した人にしかできないパワーって、絶対ある」

 第5話(12日配信)と第6話(19日配信)では、酒野の過去が描かれる。第5話では、酒野がベンチャー企業を創業した日、中学の同級生の武山もバーを開店し、2人は互いの門出を祝い合った。数年後、酒野の会社は急成長していくが、同時に酒野の酒の飲み方も変わっていく。傲慢な態度を見せる酒野に、武山は「人が変わることは悪いとは思わない。だけど、格好悪く変わってるとさみしい」と告げる……と展開する。武山役は小池徹平さんが演じるが、小出さんと小池さんがドラマで共演するのは、2005年に日本テレビ系で放送された連続ドラマ「ごくせん」第2シリーズ以来、16年ぶりだ。

 第6話では、酒野と武山が2人で話すシーンがあるといい、小出さんが訴えかける目の芝居を見せるという。「小出君が、『こんな感じに芝居になるんだ、すごい気持ちになった』と言っていました。今まで経験したことのない“芝居を超えた芝居”を小出君がやってきた」と感じたという。

 そんな小出さんについて、「人としてすごい明るいし、やんちゃだし、変わらない。それがなんか僕は好きですね」と話した鈴木さん。

 「あの歳で大きく傷ついた経験をして。傷ついた分、世間の怖さや現実がわかっただろうし、逆に言うと、人のあったかさ、応援してくれる人の気持ちにも気づいたはず。それはすごく役者さんとして大きな武器だと僕は思うんです。失敗を経験した人にしかできないパワーって絶対ある。だからそれを応援していきたいです」。

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