ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、8月14日深夜0時12分からテレビ東京で放送される、千葉雄大さん主演の「ドラマ24特別編『40万キロかなたの恋』」最終第4話だ。
ウナギノボリ
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ドラマは「宇宙一面倒くさい男の史上最長の超遠距離恋愛作品」との触れ込みで、7月24日にスタートした。ここまでの話を振り返ると、地球と約40万キロ離れた月周辺を漂う宇宙船でAIと暮らす偏屈な宇宙飛行士が、元恋人とモニター越しで再会したことをきっかけに生活が一変。AIも巻き込む三角関係に発展し……という内容で、最終話は分かりやすく起承転結の「結」にあたる。千葉さん扮(ふん)する主人公の宇宙飛行士・高村宗一と、門脇麦さんが演じる宗一の元恋人で、取材ディレクターの鮎原咲子の、“再びの恋”が無事に着地するのか、しないのかが描かれる。
最終話のあらすじはこうだ。嫉妬にかられたAI「ユリ」(声・吉岡里帆さん)の暴走が引き起こしたトラブルによって宗一(千葉さん)は地球への強制帰還を命じられ、ユリの抹消も決定される。ユリの処分に納得できない咲子(門脇さん)は、ユリに焦点を当てた配信動画を企画し、世間が注目すれば撤回されるはずと思いつく。宗一や管制室のメンバーも総出で立ち上がるが、その矢先に新たなトラブルが発生。果たして人間嫌いの宗一が出す答えとは……?
前話の嫉妬心に続いて、“自己犠牲”まで発揮する「ユリ」のけなげさにほだされてしまうこと必至。「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」(2017年)や「空の青さを知る人よ」(2019年)といった劇場版アニメで声優経験のある吉岡さんの、歯切れのよいせりふ回しと、愛らしい造形そのままに商品化してほしいと思ったほどで、吉岡さんにとっては、「日清のどん兵衛」CMキャラクター“どんぎつね”に続く、ハマり役の人外キャラになっていた。
ドラマのテーマは「ウイズ・コロナの時代に改めて感じた、人と人が直接会える日常の大切さ」「孤独」「ぬくもり」。“3密”を避けて、千葉さんの宇宙船での一人芝居はバーチャルスタジオで撮影し、リアルタイム合成で映像化したと言うが、そんな狙いや手法は抜きにして、深夜に肩肘張らずラフに見届けることができるのも、本作の魅力。最後にはじんわり、ほっこりとした気持ちになれるのもいい。
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