松嶋菜々子:「やまとなでしこ」で憧れの的に 月9、朝ドラ、大河主演の輝かしいキャリア

松嶋菜々子さん
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松嶋菜々子さん

 女優の松嶋菜々子さん主演で、2000年10月期にフジテレビ系“月9”枠(月曜午後9時)で放送されたドラマやまとなでしこ」の「20周年特別編」が人気を博している。7月6日に第1夜が放送され、主人公・神野桜子を演じる20年前の松嶋さんの姿に、SNSでは「きれいすぎて、まぶしい」「輝きすぎて、目つぶれる」「憧れる美貌」「桜子のまねしてた」といった声で盛り上がった。モデルを経て1992年に女優デビューを果たし、1996年放送のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ひまわり」、2002年放送の同局大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」など、月9、朝ドラ、大河といった国民が注目する“看板枠”で主演を務めた松嶋さんの輝かしいキャリアを振り返ってみる。 

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 まずは、「やまとなでしこ」。松嶋さんが演じた桜子は、類いまれな美貌と教養を武器に仕事を完璧にこなすキャビンアテンダント。幼い頃、極貧だったという大きなトラウマを抱えており、「世の中で一番大切なもの。それは、お金」「恋愛相手も結婚相手もお金持ちでなければ」「愛よりお金」という信念で、より良い結婚相手を求めて合コンを繰り返すという役どころだ。物語は、そんな桜子が、ある日、合コンで医者だと身分を偽る貧乏な男・中原欧介(おうすけ、堤真一さん)と出会い、恋する姿を描く“ロマンチック・ラブコメディー”だ。

 放送当時の平均視聴率は26.4%、最終話の最高視聴率は34.2%(共にビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)をマーク。当時は、女性ファッション誌が、桜子の“コンサバファッション”やヘアスタイルを特集企画として組むなど、多くの女性から視線を集めた。“コンサバファッション”は“きれいめカジュアル”という意味だが、ハイブランドのアイテムを上手に取り入れた松嶋さんの着こなしはとてもエレガントで、視聴者からは、ヘアスタイルやファッションをまねしたと、当時を懐かしむ声がSNSにあふれた。

 また、桜子は「女が最高値で売れるのは27。27歳が売り時のピークなの。それを越えたら値崩れを起こすわ」「男と女は出会ってから1週間が勝負なの」と、聞いた者を思わずハッとさせるような、視聴者の心に刺さりそうなフレーズを言い放つ。さらに、門をよじ登ったりと“女性らしくない行動”をする一方で、男を“落とす”ときの決めぜりふ「今夜はたった1人の人に巡り合えた気がする……」を発するなど、“あざと可愛い”キャラクターで視聴者を魅了した。

 桜子が、欧介との出会いをきっかけに、“本物の愛”に気付いていくラブストーリーの本軸でも、視聴率が示すように、多くの視聴者の感動と共感を誘い、松嶋さんが女性の憧れの的となった作品だ。

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 1996年に松嶋さんがヒロインを務めた朝ドラ「ひまわり」は、バブルの崩壊で会社をリストラされた南田のぞみが、弟の窃盗事件をきっかけに弁護士の世界を志すという成長物語。心の思いをストレートに口にして夢に向かって突き進むヒロインで、成長と共に表情がりりしくなっていった。視聴者は、当時女優経験の少なかった松嶋さん自身の成長と重ね合わせて楽しんだものだ。

 その後、1999年に、不倫関係にあった上司の子供を妊娠する主人公を演じた「SWEET SEASON」、男子生徒との禁断愛に溺れる教師に扮(ふん)した「魔女の条件」(共にTBS系)に主演し、救命救急センターを舞台とした医療ドラマで若き研修医を好演した「救命病棟24時」(フジテレビ系)にも出演し、その後人気シリーズに。1999年に放送されたフジテレビ系の“月9”ドラマ「氷の世界」で竹野内豊さんとダブル主演。同作は保険金殺人がテーマで、妖艶な魅力で男性を引きつける女性教師を演じた。その後に放送された「やまとなでしこ」が“月9”枠単独初主演作だった。

 2002年放送のNHKの大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」は、百万石の天下を狙う前田利家(唐沢寿明さん)を主人公として描き、松嶋さんは、利家を温かく見守り、しっかりとした芯のある妻、まつを好演した。これら以外にも、「GTO」(カンテレ・フジテレビ系)、「花より男子」(TBS系)シリーズなどの話題作にも出演した。

 松嶋さんのキャリアの中で欠かせないのが、2011年10月期に放送された「家政婦のミタ」(日本テレビ系)だ。ドラマは、常に無表情でミステリアスな雰囲気の家政婦の三田灯(松嶋さん)が家庭崩壊寸前の阿須田家に派遣され、一家の成長などを描いた。最終回の平均視聴率は40.0%、瞬間最高視聴率は42.8%という高視聴率を記録。ミステリアスな三田が話す「承知しました」「それは業務命令でしょうか」といったせりふをまねする人も多くいた。

 2019年放送の朝ドラ「なつぞら」ではヒロイン・なつ(広瀬すずさん、粟野咲莉さん)の育ての母・柴田富士子を演じた。いつも優しく、時に叱咤(しった)しながらなつの成長を見守る富士子を表現した松嶋さんの繊細な演技は、多くの視聴者の胸を打った。

 1990年代、2000年代、2010年代と各年代で代表作を持つ松嶋さん。世間のトレンドや嗜好(しこう)が移り変わる中、ここまで長期間にわたって支持を受けている女優はとても珍しい。そんな松嶋さんが出演する次回作はまだ発表されていないが、今後、どんな役柄で視聴者を楽しませるのか、期待したいところ。7月13日午後9時から放送の「やまとなでしこ 20周年特別編」の第2夜では、視聴者が感動に浸ったロマンチックな恋物語の結末が描かれる。20年前の松嶋さんの演技を楽しみながら、松嶋さんの新作を待ちたい。

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