阿部寛さん主演のドラマ「スニッファー 嗅覚捜査官」(NHK総合)が3日、最終回を迎える。2013年にウクライナで制作された人気ドラマ「THE SNIFFER」をリメークした作品で、NHKの堀切園健太郎チーフディレクターは「海外ドラマのトレンドが凝縮されていて、オリジナリティーもあり、日本でも人気になるかもしれない」と見込んで、視聴者が登場人物に共感できるようにキャラクター性を際立たせるなど日本向けにアレンジしたという。制作の裏側を探った。
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「スニッファー」は、阿部さん演じるコンサルタント・華岡信一郎が人の数倍の嗅覚をもつ“自慢の鼻”を使い、香川照之さん演じる人情派刑事の小向達郎らとともに、難解で奇妙な事件を鮮やかに解決していく犯罪捜査ドラマだ。
「スニッファー」は、オリジナルをそのまま日本の俳優に置き換えるような単なるリメークではなく、設定などの“フォーマット”は踏襲しながら、日本向けにアレンジをしている。海外ドラマを日本向けにアレンジすることは珍しくなく、現在放送中の「THE LAST COP/ラストコップ」(日本テレビ系)や「連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~」(WOWOW)も同様だ。“フォーマット販売”はドラマ以外にもバラエティー番組などでも行われているが、NHKのドラマでは「スニッファー」が初めてだという。
堀切園さんは「ストーリーやキャラクターの骨格は踏襲していますが、日本向けにアレンジしています。オリジナルは展開がゆっくりしているところもあるけど、日本版はスピーディーにしました。また、オリジナルはクールなイメージが強いのですが、笑いあり、ドキドキありのエンターテインメント作品にしたかった」と話す。
日本版では、オリジナルと比較すると、説明をより丁寧にしたという。堀切園さんは「日本のドラマの場合、視聴者がキャラクターに感情移入、共感したいと感じる傾向があるので、よりキャラクター性を濃くしている。例えば、オリジナルは、犯罪者に感情移入がしにくいところもある。日本の視聴者は、犯罪者にも感情移入しながら楽しむ傾向があるので、説明を丁寧にすることで、感情移入できるようにしている」と説明する。
阿部さんが演じる華岡が嗅覚を駆使して物を嗅ぐシーンは、コミカルに見えることもある。オリジナルのスニッファー(キリル・カロさん)はクールな印象が強いが、日本版はコミカルな要素を強調することで、超人的な能力を持ちながら、人間的なところもある華岡のキャラクター性を際立たせた。堀切園さんは「最初から華岡役は阿部さんにお願いしたいと考えていた。オリジナルに似ているところもありますし、お約束ではない笑いもできる珍しい俳優」と評する。
香川さんが演じる小向は、オリジナルではユニークで女性にモテるキャラクターだったが「日本ではモテるキャラクターはあまり受け入れられない」と、真面目な人情派にアレンジした。さらに、最終話にはサイコパス役の安田顕さんが登場するが、オリジナルはミステリアスなキャラクターとして、詳細が描かれていないところを、日本版は丁寧にキャラクターを描いているという。
「NHKの土曜ドラマは、社会派などのイメージがあるかもしれませんが、外部の血も入れてみたかった。作り手としてはオリジナルを超えるものを作りたかった」と話す堀切園さん。番組を手がける磯智明チーフプロデューサーは「“フォーマット買い”は今後も増えていくかもしれません」と話しており、海外ドラマの日本独自のアレンジはスタンダードになっていくかもしれない。
「スニッファー 嗅覚捜査官」の最終回はNHK総合で3日午後10時に放送。10分拡大スペシャルとして放送される。
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