プロデビュー以来、45戦全勝し、日本のボクシングファンにも“ロマゴン”の愛称でおなじみのローマン・ゴンサレス選手(ニカラグア)が、WBC世界スーパーフライ級王者のカルロス・クアドラス選手(メキシコ)と米カリフォルニアで対戦するタイトルマッチの模様が、WOWOWで11日に生中継される。番組では、この日、英ロンドンで開かれる3団体統一世界ミドル級王者のゲンナディ・ゴロフキン選手(カザフスタン)とIBF世界ウエルター級王者で36戦全勝のケル・ブルック選手(イギリス)によるWBC・IBF世界ミドル級タイトルマッチも放送する。この二つのビッグマッチについて、2012年ロンドン五輪ミドル級金メダリストで現在はプロとして活躍する村田諒太選手に勝敗の行方を占ってもらった。
ウナギノボリ
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――ロマゴン対クアドラス選手の試合展開の予想をお願いします。
ロマゴンの勝ちは動かないかなと思っています。クアドラス選手もロマゴンにつめられて上下に打ち上げられたら耐えられないんじゃないかな。ただロマゴンが一回スーパーフライで調整試合をした時に、あまり動きにキレがなかったんですよね。フライ級に上げたばっかりでスーパーフライで動きづらいのかなという感じがあったので、今はスーパーフライでどういう体を作るかというところだと思います。クアドラス選手は動きが速いので、昔はガンガンいってましたけど、今はさばくのがうまくなっているので、そこをロマゴンがどう対処するか、ロマゴンの動きがどうなっているかですね。
――ロマゴンの最大の良さは?
よどみのない波状攻撃ですね。滑らかにずっとつながるような連打なんです。僕らがまねしようとすると一回止まる、“一時停止”があるんですけど、ロマゴンはよどみなく水が流れるかのように連打が出続けるという強さですね。
――ロマゴンにしたらやりづらい相手だと思いますがどうですか?
僕もそう思いますね。好きな相手ではないと思います。でもクアドラス選手もロマゴンみたいな選手とやったことはないので、そういった意味では面白い試合ですよね。まずロマゴンが前の試合で判定までいっていますし、そのあたりの復調状況と、スーパーフライ級にどうアジャストしていくかというところと、クアドラス選手のボクシングとロマゴンのボクシングのかみ合わせがどう融合していい試合になるかですね。
――勝った選手が井上尚弥選手と戦うシナリオになっていますが?
そのシナリオになっているかどうかですよね。ロマゴンはフライ級で無理のない選手なので、スーパーフライでやっていく意味があるのかという。どう考えてもロマゴンのほうがビッグネームなので、井上選手が合わせる必要がありますよね。
――仮に井上選手とロマゴンが戦ったらどんな展開になりますか?
序盤、勝負をかけて井上選手がパンチを直撃すさせれば、ロマゴンも耐えられないと思います。ただ中盤以降になってきて井上選手が疲れてきて、パンチの軌道を読みはじめてきて連打してきたら、井上選手もロマゴンみたいな選手と戦ったことがないので、中盤、後半勝負になってきたらロマゴン有利でしょうね。しびれる試合になると思います。
――ゴロフキン選手対ブルック選手の見どころを教えてください。最初に聞いたときにどう思いました?
ケル・ブルック選手、男だな、かっこいいと思いました。「誰もやりたがらないチャンピオンのゴロフキン選手だから俺はやるんだ」と言っていますし。
――試合展開はどうなると思いますか?
ブルック選手が動くと思うんですよ、絶対。ブルック選手が動いて、ゴロフキン選手が追う展開になると思うんですけど、そんな楽な試合じゃないと思います。そう簡単につかまる選手ではないですし、バランスが良いので、まともにブルック選手がパンチを食らっている姿をあまり見たことないんですよ。ただ、ガードの上からなぎ倒されるって可能性はかなりあります。
――ゴロフキン選手の戦い方としては今まで通り?
今まで通りでしょうね。たぶんですけど、変にガンガン振ってつめるのではなくて、ジャブを軸につめると思います。レミュー選手とやった時のように、しっかり左で組み立てる。やっぱり動く相手に振り回してしまうと空ぶってスタミナが切れるっていうこともあると思うので。そのあたり、ゴロフキン選手が冷静になって戦えば、ゴロフキン選手の勝ちは動かないと思いますね。
――ブルック選手に勝機ありという時はどんな展開ですか?
動く、もらわない、スピードで勝つ。それで、ゴロフキン選手がイラつく、振り回す、スタミナが切れる、それで、ポイントアウトでしょうね。
――ゴロフキン選手と村田選手が戦うならどう攻めますか?
僕はガードをしっかりすることですね。打った後にゴロフキン選手が休む瞬間がありますし、スタミナがあるようにみえて、自分のペースでやっているからあるだけで、実はランナーをふったときにバテることがありますよね。そのあたりはしっかり打たせて我慢してビビらないで距離をつぶして勝負したいですね。
――今回のブルック選手の戦いぶりに注目しているということですね?
していますね。やっぱり最近のゴロフキン選手の相手はビビっているじゃないですか。だから、そうじゃない戦いをブルック選手ならしてくれるんじゃないかと期待はありますね。
――ゴロフキン選手のウイークポイントはどんなところですか?
振りが大きいので、うまく戦えば隙のないボクシングをするんですけど、やっぱりある程度振りが大きくて休む時間も多いし、テンポ自体はそんなに速くないので、そのテンポのゆっくりしたところをつければいいと思います。相手のテンポを狂わすというか。
――ブルック選手がどう戦うかというところで、自分の作戦も戦うとしたらみえてくると?
すごく参考にすると思います。やるとなれば。
――ブルック選手の勝機はスピード?
スピードで、テンポの差ですよね。ババンと打って動いてイラつかせて、ゴロフキン選手のゆっくりなテンポをどう崩すかですね。
――ずばり予想は?
ゴロフキン選手の終盤のTKOかなと思います。そんなに簡単にとはいかないと思います。ここ最近の試合の中では一番苦戦すると思います。
――今後のミドル級戦線はどういう展開になっていくと思いますか?
ビリー・ジョー・サンダース選手を狙っているのは僕もですけど、カネロ・アルバレス選手も狙っているといううわさもありますし、そのあたりとゴロフキン選手との統一戦になりますけど、そこに僕も混ざっていけるように頑張りたいです。
*……WOWOWでは9月にボクシングのビッグマッチを4戦放送する。WOWOWプライムで11日午前11時からWBC世界Sフライ級タイトルマッチ「ローマン・ゴンサレス対カルロス・クアドラス」、WBC・IBF世界ミドル級タイトルマッチ「ゲンナディ・ゴロフキン対ケル・ブルック」、18日午前11時からWBO世界Sウエルター級タイトルマッチ「サウル・カネロ・アルバレス対リアム・スミス」を放送。またWOWOWライブで26日午後9時からWBA・WBC世界ライト級王座統一戦「ホルヘ・リナレス対アンソニー・クロラ」を放送する。
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