ねむようこ:完成したドラマに太鼓判 ケータイドラマ「午前3時の無法地帯」原作者に聞く

「午前3時の無法地帯」原作者ねむようこさんの自画像イラスト
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「午前3時の無法地帯」原作者ねむようこさんの自画像イラスト

 人気上昇中のモデル・本田翼さんが主演した携帯電話専用放送局「BeeTV」のドラマ「午前3時の無法地帯」が配信中だ。映画「リンダ・リンダ・リンダ」(05年)や「天然コケッコー」(07年)などで知られる山下敦弘監督らが演出を担当し、本田さん演じるももこの相手役にオダギリジョーさんのほか、「劇団EXILE」の青柳翔さんや木南晴夏さんらが脇を固める。原作は女性向けマンガ誌「FEEL YOUNG」(祥伝社)で連載されたシリーズ累計発行部数50万部を超えるヒット作で現在も同誌で「トラップホール」を連載し、20代、30代を中心とした女性の読者から支持を得ている原作者のねむようこさんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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  「午前3時~」は、イラストレーターを夢見ながらデザイン会社に就職したももこが、理想とはほど遠い職場で日々パチンコ店のPOP作りの仕事に追われ、恋人とはすれ違いになりながらも恋に仕事に奮闘するというストーリー。デザイン事務所で働いていたねむさんの実体験を基にしており、同マンガの続編「午前3時の危険地帯」やスピンオフ作品集「午前3時の不協和音」も人気を博している。

 ねむさんは「今まで作品が映像化されるといわれても、話が立ち消えになってしまうこともあったので、ならないかもと思いつつ」日々を過ごしていただけに、ドラマ化が“本当に”決定したときは「とてもうれしかった」という。出来上がった作品を見たときは「どのキャストもぴったり。(オダギリさん演じる)多賀谷さんはビジュアルは違うなーって思っていたけれど、つかみどころがない感じとか、ひょうひょうとしているところがぴったりだと思いました」といい、「原作を大事にして作ってくださっているのが分かったし、ドラマとしても楽しめた」とドラマの完成度に太鼓判を押した。

 ねむさんの心に残ったシーンは、ももこの同世代の恋人のたもつが浮気相手と一緒にいるところをももこが目撃するシーンだ。「たもつのポケットから浮気相手の女の子が鍵を出すシーンなんですけれど、すごくいやらしいシーンだと思いました。原作はもっとサラッと描いているので、すごい演出だなあと思いました。すごくリアルで悲しいし、ショックなシーンでとても印象的だった」と話す。

 撮影現場にも見学に行ったというねむさんは「役者さんたちだけでなくみんながそれぞれプロだった。プロが真剣にやっている場所に行くことができ、セットも細かく凝った作りでそれを間近で見ることができたのは面白かった」と振り返る。小道具のたばこの吸いがらだったり、全部細かく書き込まれた発注書だったり、画面に映らないところまでも丁寧に作り込まれている“プロの仕事”を目の当たりにしたねむさんは「映像の空気はこういうふうに作っていくのか」と大きな発見をしたという。「マンガは、アシスタントさんはいるけれど、基本は1人で作るもの。映像はまず、携わる人の人数は圧倒的に違うし、映像を作るときは人を動かさないといけない。自分が撮りたいものや作りたいものを伝えて作っていくので、信頼し合っていないとできないなと。役者さんたちからも信頼関係が伝わってきました」と話す。撮影現場ではねむさんにとってうれしい(?)サプライズもあった。「(夜中になるとズボンを脱ぐくせがある)瀧さんを演じた永岡佑さんがその場でズボンを脱いで一緒に写真を撮ってくれたんです」とはしゃぐ。

 ねむさんは、演出を務めた山下監督とも何度か打ち合わせを重ねたといい、「(山下監督から)キャラクターのイメージカラーを聞かれて。ももこはピンク。(ももこのライバルの)木南さんの役は紫といったんですが、出来上がった作品を見たら木南さんが紫のセーターを着ていて面白かったです」とクスリと笑った。

 ねむさん自身の作品の映像化は「東京無印女子物語」に続き今回で2作目。ねむさんは「自分が作ったものをほかの人がどう見て、昇華していくのかということに興味がある」と自作の映像化には前向きで、続編の映像化の話があれば「見てみたいし、ぜひお願いしたいですね」と目を輝かせた。

 ドラマは「BeeTV」とドコモのスマートフォン向け動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」で配信中。1話約12分で毎週月、水曜に更新。全12話。

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