話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、中学2年生の“美少女ウルトラ戦士”の活躍を描いた「ウルトラマン妹(シスターズ)」(小林雄次著、円谷プロダクション監修、水瀬凛画)です。PHP研究所コミック出版部の前田眞宜さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
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−−この作品の魅力は?
「ウル妹」(著者や円谷プロさんなどと話すときは「ウル妹(いも)」と略します)は、ヒロインの中学生あかりが「ジャンヌ」という女性型ウルトラマンと一心同体になって、侵略者から地球を守る話なんですが、そのジャンヌが、とにかくポンコツでして(笑い)。必殺技のジャンヌ・スラッシュ(ウルトラセブンのアイスラッガーに相当する技)の特訓中にジャンヌ・スラッシュ自体を紛失してしまうシーンが、私が思う最大の萌(も)えポイント……もとい、見どころです。いやあ、ダメな娘ほど可愛いものはありません。
−−作品が生まれたきっかけは?
まず私が「円谷プロ監修で美少女ウルトラマンを作ったら、どんなものになるんだろうか?」と妄想したのが出発点です。まあ、ここまでなら、ウルトラマンが好きなオタクであれば、よくある妄想なのかもしれません。ただひとつだけ違っていたのは、私がたまたまライトノベルの編集者だったということです(笑い)。で、企画書を作って円谷プロさんに持ちかけ、了解をとりつけたというわけです。プレゼンしている最中、担当の方々が苦笑されていたのも今となってはいい思い出です。
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか。
今回はライトノベルとはいっても、「ウルトラもの」として本格的な作品にしたいと考えていましたので、何かしらウルトラ関係の創作物を手がけていること、というのが著者の最低条件でした。そんな方々の中でも、(「ウルトラマンメビウス」などの脚本を担当し、)プリキュアシリーズの脚本も手がけるなど、若い感性をお持ちの小林雄次さんは、今回の企画にうってつけでした。しかしながら、「ウル妹」のビジュアルは、既存の「ウルトラマン」のイメージとは、むしろかけ離れているものにしないと中途半端なものになってしまう、と私は考えました。そこで、絵師さんは思いきって女性にしよう、と最初に決めていました。ただし、「ライトノベル」として幅広いファンを獲得できる絵柄でなければなりません。その二つの要素から、今回は水瀬凛さんにお願いすることになりました。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
なにしろ国民的ヒーロー「ウルトラマン」の美少女化ですから、興奮しないわけにはいきません。大変なことですか……? ……。正直に言いますが、苦労は実際、なにひとつありませんでした。企画、関係者との打ち合わせ、著者とのブレスト、校正、そして印刷会社へ原稿を入れるまで、すべての作業が楽しかったです。ほんとスミマセン(笑い)
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
いろんなネタを仕込んである作品なので、ぜひ二度、三度とお読みいただければ幸いです。そのたびに新しい発見があると思います。また、「スマッシュ文庫」自体がまだまだ、“ひよっこレーベル”ですので、これを機に他の作品も手にとっていただけるとうれしいです。予備自衛官の著者に執筆していただいた「君が衛生兵で歩兵が俺で」などは、いかにもスマッシュ文庫らしく、「ウル妹」に負けず劣らず新たな地平を切り開いているんじゃないかと(笑い)。「ウル妹」の今後の展開については、円谷プロさんと相談中のこともあり、現時点では秘密ということにさせてください。
PHP研究所 コミック出版部 前田眞宜
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