注目映画紹介:「アタック・ザ・ブロック」 ロンドンの不良とエイリアンのバトルになぜかウルウル

「アタック・ザ・ブロック」の一場面 (C)StudioCanal S.A./UK Film Council/Channel Four Television Corporation 2011
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「アタック・ザ・ブロック」の一場面 (C)StudioCanal S.A./UK Film Council/Channel Four Television Corporation 2011

 空から隕石(いんせき)とともにエイリアンが降ってきた。ロンドンの不良キッズとエイリアンがバトルを繰り広げる「アタック・ザ・ブロック」が23日に公開された。なぜだろう、この手の映画でウルウルきた。これは意外な感動作だ。今作が長編デビューとなるジョー・コーニッシュ監督が手掛けた。サウスロンドンの若者たちに綿密なリサーチを行ったというだけあって、ワルたちの会話がリアルで細かい。

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 看護師のサム(ジョディ・ウィッテカーさん)は帰宅途中、ロンドンの貧しい公団に住む5人の不良に脅される。しかし夜空に突然の閃光。その瞬間にサムは逃げ出し、怒った不良たちは閃光の原因となった隕石の中から飛び出してきた生物を殺してしまう。生物の死体を手土産にギャングに見せびらかしていると、隕石が次々に落下。不良たちはいきがってエイリアン狩りに出向くが……という展開。

 次々と空から降ってくる黒っぽいエイリアン。闇の中に現れる不気味さがありながら、どこかちゃめっ気もあってマンガを見ているかのようだ。公団キッズたちの友情、そして責任感の強いリーダーの姿は、日本のアニメっぽくて親近感がわく。ワルたちもどこか可愛げがある。エイリアン狩りの武器がバットや花火だし、女子グループにはタジタジだ。「エイリアンは政府が黒人を殺すために送り込んだ」といっていたリーダーのモーゼスが、他者のせいにすることなく、責任を全うしようと立ち上がる姿に感動する。狭いコミュニティーの中でせせこましい縄張り争いに夢中だったワルたちが、異世界からやって来た侵入者(エイリアン)と対峙(たいじ)することで、本気でブロック(地域)を守ることに目覚めていく過程に目がくぎづけになった。23日から渋谷シネクイント(東京都渋谷区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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