ブギウギ:愛助の死を知ったスズ子、幸せの絶頂から不幸のどん底へ 趣里の絶望の演技は「生気がなくなるかのよう」 9秒間沈黙の狙いも

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第86回の一場面(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第86回の一場面(C)NHK

 俳優の趣里さんがヒロインを務める2023年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(月~土曜午前8時ほか)。第86回(2月2日放送)では、恋人・愛助(水上恒司さん)の死を知ったスズ子の深い悲しみが描かれた。絶望するスズ子の心情を見事に表現した趣里さんの演技について、制作統括の福岡利武さんが語った。

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 第86回では、無事に出産を終えたスズ子が、マネジャーの山下(近藤芳正さん)から「ボン(愛助)は亡くなりました」と衝撃の事実を知らされる。愛助の死を知ったスズ子は、ショックのあまり言葉を失う。

 この場面で、趣里さんは約9秒間にわたる“沈黙”でスズ子の深い絶望を表現した。狙いについて、福岡さんは「ショックで何も言えないほどの悲しみを表現しているのですが、実は撮影では、この沈黙のシーンをもっと長く撮っているんです」と明かす。

 「編集する中でこの長さになったのですが、9秒も沈黙していたなんて意外でした。僕はそんなに長く感じなかったですし、もっと短いのかなと思ったぐらいでした。台本にも(ト書きで)『まるで人形のように生気を感じられない』と書いてあるのですが、スズ子から生気がなくなるかのような表現になっていましたね。趣里さんが撮影を通して積み重ねてきた気持ちが表出した芝居だったと思います」と振り返る。

 母親になった喜びに包まれたスズ子が、愛助の死を知り、幸せの絶頂から不幸のどん底へと落ちていく。感情の振れ幅が大きい芝居が求められる場面だが、「趣里さんは、あまり準備をしすぎるでもなく、現場の状況と役が置かれた状況などをしっかりと感じた上でお芝居をされて、その表情、お芝居がとても素晴らしかったです」と話す。

 「スズ子を自然に長く演じておられますし、台本を読んで準備し始めた期間も考慮すると1年ぐらいはスズ子を意識していらっしゃると思うので、その中で感じることをとても大切にされているんじゃないかな、と。山下の言葉を受けてからのお芝居には、本当に引き込まれる、共感できるものがありましたし、素晴らしいなと思いました」とその演技をたたえた。

 現場での趣里さんの様子については、「難しいシーンでしたが、愛助ついてしっかりと積み重ねてきたこともあったので、比較的自然な感じで撮影が始まりました」と回顧する。

 「悲しい週ではありますが、スタジオ前ではいつものように過ごされていました。撮影が始まると、今まで愛助のことを思ってきたということもあって、趣里さん自身が素直に感じたことを表現されているようでした。スズ子の悲しみが伝わる表情も、趣里さんの中から自然と出たものだったのではないかと思います」

 愛助の死を乗り越え、一人の女性として、母として、歌手として、たくましく成長していくスズ子。シングルマザーとして娘を育てながら、歌手として輝くスズ子の生き様を見守っていきたい。

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