今をときめくスターやアーティストにも、初出演、初イベント、初ライブなど必ず存在する“はじめて”の瞬間。そんな未経験ならではのドキドキの瞬間を、本人に振り返ってもらうのが「私のはじめて」です。今回は俳優の水上恒司さんに“はじめてのドラマ”の思い出を語ってもらいます。
ウナギノボリ
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2018年にテレビドラマ「中学聖日記」(TBS系)で、担任教師に恋する黒岩晶役を演じ、俳優デビューしました。撮影初日のことは、今でもよく覚えています。有村架純さん演じる主人公の中学校教師・末永聖が、赴任初日のホームルームでいきなり黙祷をささげる場面で、そんな聖先生を見た晶が「なんだ、あの女」とつぶやくシーンでした。
この場面を撮影する時、「今から人生で初めて芝居をします」という状況なのに、でっかいカメラが僕の顔のすぐ前にあったんですね。「え、先生見えないじゃん!」と思っちゃって。「どうやって芝居したらいいんだろう?」と戸惑っているのに、撮影はどんどん進んでいくから、極度の緊張と暑さもあって初日からぶっ倒れてしまって……。
有村さんの所属事務所の社長さんが病院に電話して、熱中症の処置方法を聞いてくださったので事なきを得たのですが、きっとあれを超える緊張感は今後ないんじゃないかなと思います。
「中学聖日記」の撮影を振り返って、今でも印象に残っているシーンがあるんです。晶が聖先生に対して、すごく親身に優しくされてうれしいんだけど、この気持ちが何なのかよく分からない。本当は好きなのに、嫌いだと思ってしまい、何だかちょっと傷つけたくなってしまう。そんな複雑な感情がゆえに、先生の頬を思わずパチンってたたいちゃう、という場面です。
そのシーンのドライ(カメラなしのリハーサル)に臨んだ時、「本当にたたいていい? でもたたくと赤くなっちゃうよな? どれぐらいの強さでたたいていいの?」ってパニックになっちゃって、その時だけ僕の動きがスローモーションになってしまったんです。そのうえ、なぜか途中から監督の塚原あゆ子さんのほうを見ながら芝居をしていて、「私のこと見るんじゃないよ」って怒られてしまいました(笑い)。
しかも、まだ僕は芸能界に入りたてで「あの有村架純さんに!?」という感じでしたから、「どうしたらいいんだろう?」で頭がいっぱいになったことを覚えています。有村さんの協力もあって何とか本番を撮り終えることができましたが、今となれば、本当にたたかずに、うまくたたいたふりをすればよかったのかなと思いますね。
◇プロフィル
みずかみ・こうし 1999年5月12日生まれ、福岡県出身。2018年10月期の連続ドラマ「中学聖日記」(TBS系)で主人公の相手役に抜擢され、俳優デビュー。その後も、連続ドラマ「MIU404」(TBS系、2020年)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」(2021年)、主演映画「死刑にいたる病」(白石和彌監督、2022年)など、話題作に立て続けに出演。現在放送中のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」にヒロインの恋人・村山愛助役で出演中。
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