三木眞一郎:西尾維新<物語>シリーズの千石撫子に!? 「囮物語」朗読 「僕の肉体で表現できる撫子を」

「<物語>シリーズ」で貝木泥舟の声優を務める三木眞一郎さん
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「<物語>シリーズ」で貝木泥舟の声優を務める三木眞一郎さん

 アニメも人気の西尾維新さんの人気小説「<物語>シリーズ」(講談社)から「囮(おとり)物語」のオーディオブック版が、12月17日にAmazonのオーディオブックサービス「Audible(オーディブル)」で配信された。アニメの声優陣が各キャラクターのせりふを含め小説を一冊まるごと朗読するシリーズで、「セカンドシーズン」では、貝木泥舟の声優を務める三木眞一郎さんが、千石撫子が主人公の「囮物語」を担当した。千石撫子は、アニメでは花澤香菜さんが声優を務めるキャラクターで、三木さんは「撫子の物語を僕が読むのか?と思った人もいるはず(笑い)。僕の肉体でできる撫子で朗読した」と話す。収録の様子や、貝木泥舟への思いを聞いた。

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 ◇一人一人のキャラクターの心情を再現

 Audibleは、プロのナレーターが朗読した小説やビジネス書といった人気書籍の音声版をスマートフォンやパソコンなどで楽しむことができる。「<物語>シリーズ」のオーディオブックは、「ファーストシーズン」として阿良々木暦役の神谷浩史さんが朗読する「化物語(上)」、戦場ヶ原ひたぎ役の斎藤千和さんによる「化物語(下)」などが2月から順次配信された。月額1500円の会員サービスに登録し利用する方法と、登録せずに単品購入する方法がある。

 「セカンドシーズン」は、神原駿河役の沢城みゆきさんが朗読する「猫物語(白)」、阿良々木月火役の井口裕香さんによる「傾物語」、羽川翼役の堀江由衣さんによる「花物語」が配信中。三木さんによる「囮物語」が12月17日、阿良々木火憐役の喜多村英梨さんによる「鬼物語」が2022年1月21日、臥煙伊豆湖役のゆきのさつきさんによる「恋物語」が2月18日に配信される。

 三木さんが「<物語>シリーズ」で演じている貝木は、怪しげで不吉な雰囲気が漂う詐欺師だ。かたや、三木さんが朗読した「囮物語」の主人公である千石撫子は、人見知りの中学生の少女。三木さんは撫子のモノローグも多い「囮物語」を担当すると聞いた時は「おや? どういうことだい?と。どうやって読んだらいいのか分からないぞ(笑い)」と感じたという。

 「収録前の準備で読んだ時はちょっと貝木っぽい読み方のほうがいいのかなと思っていたんですけど、現場に行ったらそういうわけではなく『ご自由に』と。そうであれば、聞いてくださる人に楽しんでいただけるような読み方にしようかなという感じになりました」

 三木さんは、朗読ではなく、台本を持ってドラマを進行する演劇のスタイルである「リーディング」を意識して収録に臨んだという。

 「西尾先生の作品は、客観的な文章はとても少なく、キャラクターが行動や出来事、せりふを書き記したという書き方なので、オンタイムで物語が進行していくという感覚で登場人物の心情を再現していくことを意識しました。僕自身は撫子ではないけど、そこにいるのは撫子なので、僕の肉体で表現できる撫子で読まなければ、失敗になるのではないかと。そういう形で、この物語を読むことに対する責任を取ろうと思いました」

 「囮物語」には撫子のほか、白い蛇の形をした神・クチナワ、阿良々木暦、戦場ヶ原ひたぎといったさまざまなキャラクターが登場するが、その一人一人の心情を丁寧に表現していったという。

 ◇キャラクターに「体を貸している」

 「囮物語」のオーディオブックは、10時間以上の長編だ。収録は数日間に分けて行われたが、「収録を進めていてもなかなか分厚い台本が減らないんですよ(笑い)」と振り返る。三木さんは長時間に及ぶ収録も「そんなに大変ではなかった」と話す。

 「『読む』というよりも、体を貸している感じなんです。僕の肉体を使って勝手にそのドラマが進んでいくという感覚なので、読んでいる時はそんなに大変ではない。その感覚は楽しいです。自分の肉体を誰かが勝手に使っている感じ。文章の中で話すキャラクターが変われば、しゃべり方のテンポも自然に変わっていくし、そういう意味では面白かったです」

 三木さんは、ほかの作品でさまざまなキャラクターの声優を務める際も「演じる」という感覚ではないという。

 「『演じる』ということがまだよく分かっていないので、その言葉を使えないんです。再現するので精いっぱいなので。もうちょっとうまくなったら、『演じる』という言葉も格好よく使えるんでしょうけど」

 アニメで貝木に声を当てる際も「勝手にしゃべってくれる」と感じているという。

 「マイク前に立つと貝木くんが勝手にしゃべってくれるから、僕は何もしないです。憑依(ひょうい)されているような感じです。貝木くんと折り合いをつけて僕の体を貸しているという感じかな」

 オーディブル版の「囮物語」では、三木さんが千石撫子に「体を貸した」と言えるかもしれない。三木さんは「一生懸命やったので、聞いてくださる方が怒らなければいいな(笑い)」といい、「オーディオブックでは、人それぞれの個性のある『<物語>シリーズ』を耳にできるのではないかなと思いますので、ぜひぜひいろいろな方の物語を楽しんでいただければいいなと思います」と聴きどころ語る。「<物語>シリーズ」の新たな楽しみ方を堪能できるはずだ。

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