女優の吉高由里子さん主演の連続ドラマ「最愛」(TBS系、金曜午後10時)が12月17日の放送でついに最終回を迎える。15年前の殺人事件に端を発した連続殺人事件を縦糸に、吉高さん演じる重要参考人となった実業家の真田梨央と、梨央の初恋相手で事件の真相を追う刑事・宮崎大輝(松下洸平さん)、梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦新さん)をはじめとした人々の生きざまを横糸にして、重厚な物語が紡がれてきた。今作の新井順子プロデューサーに、撮影を振り返ってもらうとともに、気になる最終回について聞いた。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
2006年、岐阜県。東京の大学の薬学部への進学を目指す高校3年生の梨央は、父が寮夫を務める白山大陸上部の大輝に恋心を抱き、大輝もまた梨央に思いを寄せていた。しかし、寮で“ある事件”が起き、梨央は岐阜を離れて東京で暮らすことになる。そして15年後、美しく成長し、念願の製薬事業にまで手を広げるに至った「真田ウェルネス」の社長となった梨央の前に、捜査1課の刑事となった大輝が姿を現す。離ればなれとなっていた梨央と大輝をつないだのも、15年前の事件だった……。
見どころの一つとなってきたのが、捜査される側と捜査する側に分かたれた梨央と大輝の恋愛模様だ。くっつきそうでくっつかないさまは“ジリキュン”とも呼ばれたが、新井さんは「切ないロミジュリ(ロミオとジュリエット)感」と語る。「大輝を(捜査1課から)異動させることを最初から決めていたので、そこまではいかに切なくやるか。“禁断感”を出そうということで第6話までやって、第7話で近付き、第8話でもプロポーズのようなシーンがあって、第9話でまた距離ができてしまうんですけど。立場の違う2人を引き裂くみたいなことは意識しました」とこだわりを明かす。
第7話では、梨央と二人きりになった大輝が飲み物をこぼしてしまうシーンで、梨央と大輝が慌てて床をふきながら、至近距離で見つめ合う展開に。ところがキスするわけではなく、二人は顔を見合わせて笑ってしまう。新井さんは、当初キスさせようと思っており、実際プロットではキスシーンがあったという。「読んだら『何か違うな』と思って。1話のように戻るみたいなことがしたかったので、『じゃあ笑おう』と」と明かす。1話で描かれた、互いの好意を知りつつ、告白しそうになると「今やない」とタイミングがずれるという15年前の甘酸っぱい関係をほうふつとさせる“ジリキュン”な一幕になった。
新井さんが15年前より「もうちょっと進んでるかもしれない」と評した第8話。大輝が「二人で考えんか? これからのこと」と梨央に告白するも、「私も同じこと思っとった。事件解決して、薬できたら、そのとき言おうって思っとった」と梨央が応じるシーンも描かれた。大輝は「今やないんやな」としつつ「そんときが来るまで待っとこう」と話すが、やってきた電車の轟音(ごうおん)に負けじと、大きな声で「先のこと考えたい相手は他におらんで」と梨央に伝える。新井さんは「あの当時言えなかったことをようやく言えたんですが、そうしたら『今やない』って話になる。なかなか進まない二人だなぁとジリジリしますよね」と述懐する。
吉高さんと松下さんの演技も好評を得た。新井さんは「吉高さんのサスペンス力というか、スイッチが入るのは見ていて面白い。松下さんは好青年、文学青年みたいな感じがあったんですけど、かなりイメージが変わったのかなって」と話す。“カップル感”についても「2人とも左利きだったり、実際に仲が良いから、『結婚しちゃいなよ』みたいなコメントも多いじゃないですか。ちゃんと空気感を2人で作られてるなと思いました」と手応えを感じているようだ。
「やっと最終回まで来たっていう感じ」としみじみ語る新井さん。「ある意味、挑戦的な最終回。それぞれの最愛は何だったのか? 最終回のその先を想像してほしい」と呼びかけた。
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