野村萬斎:初の民放連ドラ「ドクターX」振り返る 「また映像作品に」

連続ドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」に出演中の野村萬斎さん
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連続ドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」に出演中の野村萬斎さん

 女優の米倉涼子さん主演の人気医療ドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)の第7シリーズで、主人公・大門未知子(米倉さん)と対立する蜂須賀隆太郎を演じている狂言師の野村萬斎さんが、12月16日放送の最終回(第10話)を前にコメントを寄せた。初の民放連ドラ出演となった撮影を振り返り、「また映像作品に出たいなあとつくづく思いました」と語っている。

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 「ドクターX」は、天才的な腕を持ちながら組織に属さず、フリーランスとして病院を渡り歩く天才外科医・未知子を通して医療現場を描く人気ドラマシリーズ。2年ぶりの新作となる第7シリーズは、100年に1度のパンデミックによって世界中で医療崩壊が起こるなか、感染危機と新たな権力が渦巻く「東帝大学病院」に舞い戻った未知子と、メスを使わない治療「ケミカルサージェリー」を推進する蜂須賀ら内科勢力との新たな戦いを描いている。最終回が拡大スペシャルで、16日午後9時~同10時4分に放送。

 未知子の“最凶の敵”という触れ込みで今シリーズに初登場した蜂須賀。もともとは外科医だったが完璧主義者ゆえ、100パーセントのオペができない自分を許せず、内科医に転科した人物だ。そんな中、100年に1度のパンデミックによって東帝大学病院内で発言力を増し、「ケミカルサージェリー」を推進する内科勢力の頂点に君臨。院長代理・蛭間重勝(西田敏行さん)と院内闘争を繰り広げる人物として描かれた。しかし、物語が進むにつれ、「世界中の未来の命を救う」ことを掲げ、出世にも名誉にも興味がなく感染症対策に向き合ってきた純粋な理念を持つ……という“素顔”が明かされていき、第9話では、蜂須賀も病魔に侵されていることが判明した。

 ◇野村萬斎さんのコメント全文

  映画と違って台本がゴール地点までなく、また西部劇がモチーフになっていると聞き、そして“最凶の敵”という宣伝文句に引きずられ、意外と時代劇に近いのかな!? 勧善懲悪的なことを求められているのか!? と思いきや、レギュラーの役者さんたちは皆、現代劇で演じていて、戸惑ったところもありました。

 長年続く人気シリーズに異化効果をという制作サイドの期待を背負って登場した分、視聴者にも衝撃、刺激は強かったように思います。

 そういう意味でも、自分の置き所が浮草のようでありましたが、最終章でやっとゴールが見えて根を下ろせたという思いです。

 前半のウザいキャラクターな印象の分、最終章は非常に人間味のあるキャラクターだと分かり、第一印象との劇的な振れ幅は、誠にドラマチックで、やって良かったなぁと思いました。苦しい撮影期間の中、第9話を見てホッとしました。

 そして最新医療の傾向を背負う蜂須賀隆太郎というキャラクターが伝えたいこと、素晴らしいセリフが最終回には用意され、腑(ふ)に落ち、このシリーズが単なる人気の娯楽作品を超越する意気込みを持ってることに感激しました。

 その名言は、喜劇王チャップリンの「独裁者」の名言からヒントを得た私のアイデアも参考にされたようで、やはり創作の現場は、みんなの力で大きくなるというスケール感に、また映像作品に出たいなあとつくづく思いました。

 西田敏行さんとの撮影は、とっても楽しかったです。互いに腹の内を明かさず、チクリチクリとやり合う。なんとなくキツネとタヌキの化かし合いみたいでしたね……(笑い)。駆け引きめいてスリリングでしたし、西田さんからどんな“弾”がくるのかなっていつも楽しみでした。

 主演の米倉涼子さんはいろいろな魅力を持っている方。胸ぐらをつかむシーンのかっこよさもあれば、寿司屋ではしゃぐシーンの5歳児のような演技もする。“才色兼備”という言葉だけでは当てはまらない、これだけ備えている役者はかなり稀有(けう)だと思います。

 蜂須賀にとって、米倉さんが演じる未知子は自分の理想をかなえてくれる存在。なので、彼女を見る目もほかの人とは違います。2人の関係がどうなるのか、全ては10話で決着が付くのでぜひ見ていただきたいです。

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