世界で人気を博す日本のロックバンド「X JAPAN」の過去と現在を追った米ハリウッドの製作チームによるドキュメンタリー映画「WE ARE X」が3日から公開される。リーダーのYOSHIKIさんの全身全霊を懸けた音楽人生とともに、これまで語られてこなかったバンドの歴史がひもとかれる。メンバーのHIDEさんとTAIJIさんの死、ToshIさんの脱退など陰の部分もさらけ出され、中でも、幼なじみで結成メンバーのToshIさんとYOSHIKIさんのシーンは、年月を重ねたアーティスト同士として互いに尊重し合う姿が胸に迫る。
ウナギノボリ
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2014年、米ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンでの公演を控えたYOSHIKIさんのインタビューと公演の舞台裏を交えながら作品は進む。音楽関係者やKISSのジーン・シモンズさんなどの有名ロッカーも出演し、バンドの魅力を探っていく。その中で97年に解散のきっかけとなったToshIさんの洗脳騒動、亡くなったHIDEさんとTAIJIさんへの思いにも触れる。ローリング・ストーンズのアルバム制作を追ったドキュメンタリー作「ストーンズ・イン・エグザイル~『メイン・ストリートのならず者』の真実」(10年)などを手がけたスティーブン・キジャク監督が手がけた。プロデューサーは、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞作「シュガーマン 奇跡に愛された男」(12年)のジョン・バトセックさん。
ドラマーでありピアニストであり、作曲家であり、プロデューサーでもある、才能豊かなYOSHIKIさん。彼の生い立ちから、子どものころの写真とともに、つらかった父親の死や音楽家となった原点が率直な口調で語られていく。ToshIさんとのシーンでは、過去の洗脳・脱退騒動に触れ、「彼を受け入れよう」と思ってバンド復活に至った胸の内が明かされる。一方で、ボーカリストとして追い詰められていったToshIさんの側からも、当時の気持ちが静かに語られていく。2人で子どものころの思い出話に花を咲かせるほのぼのとしたシーンもあって、癒えない傷を抱えながらも前に進んでいく2人の強さと優しさに胸が熱くなる。そして、魂の叫びのような演奏シーンもふんだんに織り込まれ、90年代当時の日本での熱狂だけでなく、最近はツアーによって世界各地でファンを広げるバンドの雄姿や、音楽の持つ力も余すところなく映し出している。
なお、今作は世界20カ所以上の映画祭に出品され、昨年、米サンダンス映画祭のワールドシネマドキュメンタリー部門で最優秀編集賞を受賞している。3日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)
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