高野苺さんのマンガが原作のテレビアニメ「orange」の劇場版「orange -未来-」(橋本光二郎監督)が18日、公開された。“物語のその後”が初めて描かれるなど注目シーンは多いが、なによりも高宮菜穂(声・花澤香菜さん)と成瀬翔(声・山下誠一郎さん)の2人を見守り、結びつけようとする須和弘人(声・古川慎さん)の視点で物語が進むことで新たな一面が映し出され、テレビ版とは違った感情が生まれ、心の奥底まで染み入ってくる。
ウナギノボリ
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「orange」は、高校生の恋愛模様が描かれる一方、「未来の自分から届く手紙」を軸にしたSF的な要素を持つ内容で人気を集めたマンガで、女優の土屋太鳳さん主演で実写映画化もされた。劇場版アニメは、26歳となった須和は、卒業後に結婚した菜穂と2人の子供、そして高校の同級生らと弘法山を訪れる。沈みゆく夕日を見ながら10年前に亡くなった親友の翔を思い後悔を募らせる須和は、奇跡を信じて過去の自分へと手紙を送ることを決意し……というストーリー。
今作を須和の視点から見ると、そこには違った“景色”が見えてくる。手紙を送った側の須和は後悔を変わらず残っているが、手紙を受け取った側の須和には異なる未来が待っている。どちらも須和自身の望みであり、どちらかを選べばもう一方を失ってしまうというジレンマを感じさせる須和の行動に思わず涙してしまう。登場人物たちの友情や愛情、そしていちずで真っすぐな姿に心打たれるが、最も感情を揺さぶってくるのが須和の生きざまで、幸せと悲しみは表裏一体なのかもしれないとしみじみ感じさせられた。18日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで2週間限定で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
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