とびだすプリパラ:3D映像でライブを疑似体験 子供に感動を

「とびだすプリパラ み~んなでめざせ!アイドル☆グランプリ」の一場面 (C)T-ARTS/syn Sophia/とびだすプリパラ製作委員会
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「とびだすプリパラ み~んなでめざせ!アイドル☆グランプリ」の一場面 (C)T-ARTS/syn Sophia/とびだすプリパラ製作委員会

 小学生女児を中心に人気を集めているテレビアニメ「プリパラ」(テレビ東京系)の劇場版アニメ第2弾「とびだすプリパラ み~んなでめざせ!アイドル☆グランプリ」が3Dと2Dで公開されている。同作では初めての3D映像として話題になっており、キャラクターが画面から飛び出し、目の前で歌って踊るような映像が楽しめる。国内の3D映画が減少傾向にあるともいわれる中、今作はなぜ3Dとして製作されたのか? 製作の裏側を探った。

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 ◇劇場でしか体験できない感動を

 「プリパラ」はアイドルをテーマにしたアニメやゲームで、昨年7月に放送がスタートしたテレビアニメでは、主人公・真中らぁらが“神アイドル”を目指して奮闘する姿が描かれている。今年3月に初の劇場版アニメ「劇場版プリパラ みーんなあつまれ!プリズム☆ツアーズ」が公開された。今作は第1弾と同じくライブがテーマで、らぁらたちが“一番輝くアイドル”を決める大会に参加する……というストーリー。

 「プリパラ」のライブシーンの見どころは、3DCGのキャラクターが動き回りながら歌って踊るハイクオリティーな映像にある。ライブ中の派手な演出のメーキングドラマ、衣装がカラフルに変化するサイリウムチェンジも魅力だ。3D映像では、アイドルたちが目の前で踊っているようなライブシーンを楽しめる。メーキングドラマでらぁらたちが空を飛び、くるくると回転するシーンなどはテレビアニメでも迫力があるが、3D映像ではさらに迫力が増している。

 アニメを手がけるエイベックス・ピクチャーズの岩瀬智彦プロデューサーは、劇場版を3Dとして公開した経緯を「劇場版は大画面で見て、大音響で楽しむものということで第1弾はライブをテーマとした。次に何をするのか? 新しいことは何か? となった中で、“飛び出す”映画を考えた。テレビアニメとは違う感動を子供に感じてもらいたかった。そこでしか体験できないもので、ライブを疑似体験してもらいたい」と説明する。

 ◇変換は演出

 劇場版は、テレビアニメのライブシーンを元に“2D/3D変換”という技術によって映像を3D化している。“変換”というとオートマチックに3D映像が出来上がる……などと想像してしまうかもしれないが、実際には細かく調整をしながら、地道な作業によって3D映像を作り上げていったという。

 映像には、キャラクターや背景などさまざまな要素がある中で、キャラクターの立体感を際立たせる一方で、背景の立体感を抑えめにしたり、その逆があるなどメリハリを利かせながら絵作りをしていった。変換を担当した映像編集スタジオ「キュー・テック」のデジタルコンテンツ制作部の三田邦彦さんは「変換は演出に近い。アニメは実際にはありえない“ウソ”をつけるので積極的に演出できる」と話す。

 「ライブを疑似体験してもらいたい」というコンセプトがあったこともあり、キュー・テックのデジタルコンテンツ制作部の近恵太さんは演出について「ライブ感を大切にしたかったので、3Dにする中で、会場の広さを感じていただけるようにしたかった」と説明する。

 今作の3D映像は、キラキラとしたエフェクトが目の前を飛び回るような演出も魅力となっている。キラキラとしたエフェクトは、元となったテレビアニメの映像には入っていなかったという。キュー・テックでテストとして3D映像を製作した際、紙吹雪を飛ばす演出をしてみたところ、ライブ感が増したこともあって、全編で使用されることなった。

 また、「プリパラ」は子供向けアニメということもあり、三田さんが「“3D酔い”をなるべく避けるために、目に優しくしている」と話すように、なるべく目が疲れないようにしている。

 ◇3D映画ブームは落ち着いているが…

 2009年公開の3D映画「アバター」の大ヒット以降、国内でも3D映画が続々と製作され、ブームとなったが、現在は国内でのブームは少し落ち着いてきたともいわれている。一方で、8月に公開された女児向けアニメ「アイカツ!」の劇場版「アイカツ!ミュージックアワード みんなで賞をもらっちゃいまSHOW!」は3Dで公開されたなどの動きもある。

 岩瀬プロデューサーが「3D映像に向いている作品が分かってくれば、国内での取り組みも変わってくるのかもしれません」と話すように、観客が付加価値を見いだすことができるような3D映画が増えてくれば、潮目がまた3Dに向かうことも考えられる。今後の3D映画の動きに注目したい。

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