ブギウギ:大和&ツヤ、重要人物の死を序盤に描いた理由 「出会いと別れをしっかり描きたい」脚本・足立紳の思い

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の一場面(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の一場面(C)NHK

 俳優の趣里さんがヒロインを務める2023年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(月~土曜午前8時ほか)。第39回(11月23日放送)で、ヒロイン・スズ子(趣里さん)の母、ツヤ(水川あさみさん)が他界し、視聴者は悲しみに包まれた。第24回(11月2日放送)では、スズ子の憧れの存在で、梅丸少女歌劇団の大トップだった大和礼子(蒼井優さん)が出産後、急死した。10月2日に放送が始まって以来、約1カ月半の間に、スズ子にとってかげがえのない人物が立て続けに亡くなった。物語の重要人物の死を序盤に描いた狙いを、制作統括の福岡利武さんに聞いた。

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 福岡さんは、「脚本の足立紳さんに『出会いと別れをしっかり描きたい』という思いがあありました。スズ子が大切な人の死と向き合うシーンも描きたかったので、狙ってこういう形になったというよりは、物語を描く中で自然とこうなりました」と説明する。

 もちろん「週割りのあらすじを考えていったところ、このあともエピソードが満載なので、それを配置していったら序盤に描く形になったところもある」と全体のバランスを取った部分もあるという。

 第39回で亡くなったツヤについては、「参考にした程度ですけど、(スズ子のモデルとなった)笠置シヅ子さんの育ての母も、若くして亡くなっていらっしゃるんです。母と娘の物語を前半に濃く描いて、お母ちゃんが亡くなったところで独り立ちしていくスズ子を描ければと思いました」と語る。

 第38回(11発22日放送)で、ツヤの危篤の知らせを受けながらも、プロの歌手としてステージに立つことを選んだスズ子。絶望の中、歌い踊り、観客を沸かせたスズ子の姿に、SNSでは「母への思いを込めた熱いパフォーマンスに圧倒された」「『福来スズ子』が本当の意味で誕生した瞬間だと思う」といった声も上がっていた。

 福岡さんはこの場面を振り返り、「スズ子を舞台人として、親の死に目に会わせるのか、それとも残って舞台に立たせるのかというところも描けておりますし、足立さんも母と娘の物語をずっと続かせていくよりは、どこかのタイミングで切り替えることをすごく意識されたんじゃないかなと思います」と語った。

 11月27日から始まる第9週では、ツヤが亡くなって1年後、上京した梅吉(柳葉敏郎さん)とスズ子の東京での生活が描かれる。ツヤの死を経験したスズ子は梅丸楽劇団の看板歌手として活躍するが戦争の影が日に日に色濃くなり、スズ子の歌い方は「軽薄だ」と警察の締め付けが厳しくなっていく……と展開する。

 スズ子が身近な人の死を乗り越え、不世出の歌手になっていくさまをこれからも見届けていきたい。

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