今年一周忌を迎えたアントニオ猪木さんのドキュメンタリー映画「アントニオ猪木をさがして」(和田圭介監督・三原光尋監督)が10月6日に公開される。新日本プロレスが昨年迎えた創立50周年を記念した作品。同作に出演し、「あらためて偉大な人、誰もまねできない人だと思いました。プロレスラーはマウントされますね。すごすぎて、追いかける気もなくなっちゃう」と話す同団体のエース・棚橋弘至選手に話を聞いた。
ウナギノボリ
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この日、カメラのトラブルに慌てる記者に「猪木さんも言っていました。『一寸先はハプニング』です」と笑顔を絶やさず、何度もポーズを決めてくれた棚橋選手。自身がプロレスファンになった高校生のころには、すでに猪木さんはプロレスラーとして第一線を退いていたと振り返る。
「祖母とプロレスを見ていた子どものころは、あまり猪木さんを意識していませんでした。熱中して見ていたのは高校生のとき。主力選手の一番人気は武藤敬司さん、蝶野正洋さん、橋本真也さんの闘魂三銃士や、(全日本プロレスの)四天王。猪木さんもスポット参戦されていましたが、少し世代が違いましたね」
映画は、猪木さんがプロレスラーになる前の姿から、プロレスラー、実業家・政治家としての活躍を追う。当時を知る人の証言や写真・映像のほか、現役選手の言葉や短編ドラマで構成した。
棚橋選手が猪木さんの等身大写真パネルを、新日本プロレスの道場に掲げる様子も映し出される。等身大写真パネルは過去に“猪木さんとの決別”として、自ら道場から外したものだ。
「僕が過去にパネルを外したときは、いないんだったら好きにやらせてくれよ、その代わり、新日本プロレスは(猪木さんとは)違う方向に進んでいきますという思いでした。けれども、自分もキャリアを重ね、猪木さんが亡くなられて、フラットに見られるようになったんだと思います。
コロナ禍の苦境から立ち上がろうとする今、『猪木さん、もう一度、新日本プロレスが盛り上がるように、どうか力を貸してください』という気持ち。ちょっと都合がいいですけれど、そういった意味でまた道場に戻させていただきました」
一方、猪木さんから「受け継いだもの」を聞くと「ないですね」ときっぱり。しかし目指すところは同じだという。
「受け継いだところは考えたこともないし、たぶん一つもありません。ただ、猪木さんはプロレスというジャンルをもっと引き上げてやろう、市民権を得てやろうという熱量で動いていたと思うんです。そのやり方が、異種格闘技戦とかだった。
僕ももっとプロレスを引き上げたいと思っていますが、なにかを蹴落としてとか、誰かに追いつくとかではなく、プロレスという独特の世界観はもっと多くの人に受け入れられるはずだという信念があるんです。
猪木さんの時代の試合は、猪木さんのプロレスで良かった。今の時代はまた違う、時代に合ったプロレスをしていかなければならない。僕は、新日本プロレスを柔軟に変化させてきました」
時代に合わせた変化。それは棚橋選手の「愛してま~す!」という決め台詞や、ファンサービスの手厚さなどにも現れている。
今年、新日本プロレスの夏のシリーズ「G1 CLIMAX 33」では、肩から腕の筋肉が隠れるという、プロレスラーとしては異色かつ斬新なデザインのロングスリーブ付きコスチュームでファンを魅了。名古屋大会では、久しぶりに観客と一体になった「愛してま~す!」で大会を締め、会場を多幸感で包んだ。
「本当に久しぶりの『愛してま~す!』でしたもんね。コスチュームは、(後輩の)海野翔太のコスチュームが僕のものと似ていたので、同じG1に出るんだったらと先輩が気を使って変えてあげようという気持ちもあって。優しいでしょう(笑い)」
海野選手は2017年デビューの若手レスラー。今回のドキュメンタリー映画にも出演し、新日本プロレスの未来を語る注目選手だ。棚橋選手は海野選手を「棚橋チルドレン」と表現し、「受け継がれていますよ」と期待を込めたように笑顔を見せる。
常に新しい時代に合わせ、変化を続けている棚橋選手。アントニオ猪木という偉大な先人のドキュメンタリー映画にも新日本プロレスの現在や未来の姿を見た様子で、こう語った。
「新日本プロレスがどう生まれて、どう存在して、どういう流れで今に至るのかが分かって、より今の新日本プロレスにいる選手に思い入れを持って没頭できる。そんな二次的な効果を、猪木さんがくれると思います」
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