山崎エリイ:ロングヘアばっさり イメージ一新の理由 「トキメキズム」で「安定からの脱却」

5枚目のシングル「トキメキズム」を発売した山崎エリイさん
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5枚目のシングル「トキメキズム」を発売した山崎エリイさん

 歌手で声優の山崎エリイさんの新シングル「トキメキズム」が8月9日に発売される。山崎さんといえば黒髪ロングヘアのイメージも強いが、同シングルのビジュアルで、バッサリと髪をカットしたことも話題になっている。「30センチ以上切りました。ターニングポイントにしたくて」と語る山崎さんに、イメージを一新した理由、同シングルについて聞いた。

ウナギノボリ

 ◇幼稚園の時からずっとロング

 「幼稚園の時からずっとロングだったんです。ずっと同じ髪形でした」という山崎さん。“黒髪ロングヘアの美少女”はなぜ、髪を切ったのか?

 「自分の中でもロングが定着しすぎて、切るという選択肢がなかったんです。25歳になり、このお仕事を始めて10周年にもなるので、新しいことを始めるタイミングは今なのでは?と思っていました。ターニングポイントになる何かがほしかったんです。パッと見て分かる変化でしたら、ビジュアルですし、じゃあ髪だ!となりまして。あえて切ってしまったらどうなるの?とチャレンジさせていただきました。『トキメキズム』のミュージックビデオの撮影の前に一度切ったのですが、その時はもう少し長くて、もっと短い方がいいかもしれない……と思い、さらに切りました。ここまで切ったんだから、もっと切ってみよう!となりまして」

 髪を切ったことで変化があった。

 「切ってから3カ月くらいたちました。洗うのも乾かすのも楽です。ロングの時は風が大敵でしたが、風が吹いても視界が遮られないので、風、どんとこい!と歩けるのもうれしいです。軽くなって、肩こりもなくなりました。小学生の頃から肩こりでして、姿勢が悪いのかな?と思っていたのですが、髪を切った瞬間に痛くなくなったんです。いろいろ変化があります」

 「トキメキズム」のミュージックビデオではパーカ姿を披露しているのも新鮮だ。これまでボーイッシュでカジュアルな服を着る機会が少なかったという。

 「お洋服の系統も変わりました。これまでは、フェミニンな感じ、レースがいっぱい付いているようなお洋服と相性がよかったのですが、ボーイッシュでカジュアルな路線のお洋服に挑戦できるのもうれしいです。パーカも持っていましたが、あまり着ていませんでした。ポニーテールにしないと、髪がフードに巻き込まれてしまいますし。もっと自分の好きなジャンルを広げていきたいですし、今は自分の変化を実感しているところです」

 ◇カワイイを詰め込む

 表題曲「トキメキズム」も山崎さんにとって挑戦的な楽曲になった。同曲は「カワイイ」をテーマに、楽曲・映像・アートワーク、全てに「カワイイ」を詰め込んだ作品ということだが……。

 「これまでの楽曲は、必ずコンセプト、世界観をしっかり固めてから制作していましたが、今回はあえてそれを外しました。テーマを極限までなくしたらどうなるのだろう?と挑戦しました。昨年、発表した作品は、私の10年の気持ち、ファンの皆さんに対する気持ち、お仕事に対しての気持ちを込めたのですが、また新たな形で作ろうとしました」

 コンセプトや世界観を固めずに楽曲を制作するのは難しい。

 「何かないと困りますし、少し前からKAWAII FUTURE BASS(カワイイフューチャーベース)をやってみたいと思っていて、今回だったらできるかもしれない!と挑戦しました。カワイイをコンセプトにして、歌詞、ビジュアル、ダンスも全部カワイイ作品を目指しました。音の一つ一つがとにかくカワイイ、ワクワクする。ただ、カワイイだけじゃなくて、背中を押してくれるようなところもあります。自分の気持ちを発信するのが怖くなっている人、自分の好きを広めたいけど臆病になっている人の背中をポンと押すような歌詞になっています。自分とリンクしている楽曲なので、聴いてくださる皆さんにも新しい魅力を発信するような曲を目指しました」

 新ビジュアル、「カワイイ」というテーマなど全てがハマっているようにも見えるが、レコーディングは苦労の連続だったという。

 「私にとっては難易度が高い曲です。リズム、ハネ感がすごく大事になってくる曲でして、そこがすごく難しかったんです。聴いている人がキュンとするせりふっぽい部分もあって、言葉の一つ一つがキュルンと耳が楽しくなるような歌い方を心掛けたのですが、なかなかできなくて……。過去最長のレコーディングになりました。最終的には、少しせりふっぽく歌うくらいの気持ちで向き合うという結論に至りました」

 ◇小悪魔な一面も?

 カップリング「アクマチックシンドローム」のテーマは「小悪魔」。「小悪魔をテーマとした楽曲をずっとやりたかったんです」と語る。

 「ライブでゴシックっぽい曲、ロックな曲を歌う時、“ワリイさん”の顔が出ることがあるんです。そこを出していく曲がやりたかったんです。『トキメキズム』のレコーディングは過去最長でしたが、『アクマチックシンドローム』は体感では最短でした。これしかない!という方向性があって、レコーディングもそのまま進みまして。大丈夫なの?となるくらい短い時間で終わりました」

 しっくりきたということは、山崎さんに小悪魔な一面もあるのだろうか?

 「全くないと思っていたのですが、番組などで言われることがありまして……。とある女性声優さんに『エリイちゃんは手で転がしている』と言われたこともありました。びっくりして、断固否定したんですけど。なぜか分からないです。こういう曲をやりたいと思ったということは、そういう面があるのかな? 自分が分からなくなりますね(笑い)」

 ◇しゃべることが苦手だった

 シングルのキャッチコピーは「2023年挑戦の一枚」。山崎さんは「安定からの脱却」を目指した。

 「安定というのは、継続させていただいているからですし、いろいろなことを経験させていただく中で、もっと何かをつかみたい!という気持ちがありました。継続することも大切ですが、もっと挑戦してみたかった。20歳を超えてから、徐々にそう思うようになったのですが、何を変えていいのか分からなかったですし、変える度胸もありませんでした。気持ちが積もりに積もって、25歳というタイミングで挑戦しようとしました。髪もロングじゃなきゃいけないと義務感のように思っていましたが、切ってみたら、どんな髪形でもいいのかな?と思うようになりました。こだわっていたけど、なくなってしまえば、意外にあっさり受け入れることができて、新しい状況に対して慣れようとして、気持ちを切り替えることもできました。この作品で分かったことです。新しい作品で挑戦しようとしたことですが、作品から教わることもあって、不思議な感覚です」

 山崎さんの言葉にはブレがない。言葉の一つ一つも丁寧だ。しかし「しゃべることが苦手だったんです」と明かす。

 「性格的に、このお仕事とあまり相性がよくないと思っていたところもありました。ただ、しゃべらないと始まらないし、自分の意思をもっと伝えないといけないと徐々に気付き始めました。10代の頃は、『私もやりたいです』『いいですね』とみんなで決めることが多かったのですが、20歳を超えてから『こういうに曲チャレンジしたい』と言える場を設けていただくことが増えるようになりました。正直、打ち合わせで何をしゃべっていいのか分からないですし、自分が発言していいのかな?とおびえていました。じわじわ発言していく中で、実際に形になった時の喜びがすごく大きくて、達成感もありました。少しずつしゃべれるようになってきました。周囲の皆さんが優しかったことが大きいです。何でも一人ではできないと常に感じています。スタッフの皆さんもそうですし、ファンの方々もそうです」

 「まだ歌ったことのないジャンルにもチャレンジしていきたいですし、皆さんの意表を突きたいという気持ちもあります」と山崎さんの挑戦は続く。

 黒髪のイメージが強いこともあり、「髪の色を変えることもある? 金髪とか?」と聞いてみると「これまで髪を染めたことがないですし、そこまでは……。少しずつ変化していきたいですね」と笑顔で話していた。

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