MBS:「テレビを使って遊びましょう」1日3本×週3日でコンテンツを量産 画期的な深夜番組「あれみた?」が目指すもの

MBSのバラエティー番組「あれみた?」のポスタービジュアル=MBS提供
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MBSのバラエティー番組「あれみた?」のポスタービジュアル=MBS提供

 MBS(毎日放送)はこの春から、1日3本×週3日で週9本のコンテンツを放送する深夜番組「あれみた?」(月〜水曜午後11時56分〜深夜0時26分、関西ローカル、TVerで配信、放送1週間後からYouTubeでも公開)をスタートさせた。お笑いコンビ「見取り図」「アインシュタイン」「ビスケットブラザーズ」がレギュラー出演し、それぞれの個性を生かしながら自由度の高いコンテンツを量産する予定だ。番組タイトルも視聴者から募集し、YouTubeの事前番組で決めたという画期的な番組の狙いを、プロデューサーの清水涼平さんに聞いた。

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 「元特殊詐欺主犯格にインタビュー!」「心霊廃虚に一泊! 信じられない心霊現象が続出」「キッチンカー開業のノウハウとは?」「子供にバズる曲をつくろう」「阪神タイガースの新グッズを提案」

 上記は、これまで放送してきたコンテンツのラインアップの一部だ。バラエティー企画はもちろん、報道記者とタッグを組んだ報道ドキュメンタリー、スポーツ局と組んだコンテンツなど局内の各部局と協力し、ヒットするコンテンツを生み出すことを目標に、幅広い企画に取り組んでいる。

 ◇テレビ局が動画を作るイメージ? 

 2008年にMBSに入社し、これまでお笑い芸人と組んで番組を作ってきた清水さんは「楽しいことが好きなので、自分に話が来たのではないか」と白羽の矢が立った理由を分析する。だが、普通の番組ならばあるはずのコンセプトがない「やったことのない番組作り」に「最初はちょっと怖かった」と本音も漏らす。

 制作を進めると、あるときから怖さより楽しさ、ワクワク感の方が勝った。「せっかくなので、テレビを使って遊びましょうよと。周りから、いろんなアイデアをもらったり、助けていただく中で、こういうのが楽しいんじゃないか、面白いんじゃないかというのが、どんどん見えてきた。だから作るのが楽しいですね」と語る。

 レギュラー出演者は「見取り図」(月曜)、「アインシュタイン」(火曜)、「ビスケットブラザーズ」(水曜)」(水曜)。この3組になったのは「楽しくて新しいコンテンツを一緒に作らせてもらいたいなと思った」というのが理由だ。

 「視聴者をワクワクさせるような芸人さんたち。手練れで、どんなコンテンツでも形にしていただける」と信頼を寄せている。

 3組に番組について説明した際、「『テレビ局が動画を作るイメージなのかな』という感じのことを(見取り図の)盛山(晋太郎)さんが言ったときに、僕ら(制作側)が思い描いていた形が少しクリアになった」と一緒に面白いものを作る土壌ができたという。

 3組には「テレビ番組を作るという感覚ではなくて、コンテンツや動画を作っていく、新しくて面白そうだなと思ってもらえたのかな」と推察する。

 ◇数打ちゃ当たるんちゃうかというアホな発想も

 1日3本、週3日で1週間に9本、単純計算で年間数百本にものぼるコンテンツを作るという物量作戦には「数打ちゃ当たるんちゃうかというアホな発想もある」と笑いつつ、「テレビの仕事でこんなにいろんな企画をやらせていただくのは初めてなので、せっかくやったら、それを生かして、これまでなかったような企画を量産していけたらいいなと」と挑むことに決めた。

 1日3本と決まっているが、1本の長さは流動的。つまり3本で30分番組になればいいという考えだ。一つの企画で何本作るかも流動的で、1本で終わる企画もあれば、ビスケットブラザーズの「公園を作ろう」は初週から続く連続企画になっている。

 「短い尺なので、編集で丁寧にまとめないというか、とりあえずおいしいところだけどんどん積んでいくという、初めてのタイプの番組の作り方も新鮮ですね」と清水さんは語る。

 5月17日に放送した「万引きGメンとトーク〜続きはQRコードで」では、トークを締めくくらず、「続きはネットで」と最後に複数のQRコードを画面に映した。QRコードで「運が良ければ」続きが見られるが、はずれだと見られないという“遊び心”を取り入れている。

 ◇テレビ局の信頼性を生かして

 この番組が目指す理想の形は、「番組名は知らんけど、このコンテンツは好きだとか、なんか面白そうなことやっているなというのがネットを中心に広がって、番組自体のファンを増やし、ブランド化していく」ことだ。

 清水さんは、「テレビ局の信頼性を生かせば、例えばリアルなイベントをするとか、大勢の人を集めたいとなったときに、関西を中心に地上波で放送しているということで、リーチできるところが多かったり、大きなコンテンツに展開しやすい。放送だけでなく、さまざまなチャレンジができる可能性を持った番組だと思いますね」と目を輝かせた。

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