日本テレビが4月から新たに編成した連続ドラマ枠「金曜ドラマDEEP」(金曜深夜0時半)。第1作として、稲森いずみさん演じる主人公が不倫夫に復讐していく「夫婦が壊れるとき」が放送されている。バラエティーと比べて、ドラマはコストがかかるとされるが、どうして新たにドラマ枠を作ったのか。編成を担当する日本テレビのコンテンツ戦略局編成部の藤澤季世子さんに狙いを聞いた。
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「金曜ドラマDEEP」は、18歳以上の大人女性層をメインターゲットに、ディープな人間模様や緊迫するサスペンス、大人の恋愛といった深夜ならではの“DEEPなドラマ”を送り出すことをコンセプトにしている。
第1作となる「夫婦が壊れるとき」は、2015、17年に英国のBBCで放送され、各賞を総なめにした「女医フォスター 夫の情事、私の決断」が原作。2020年にリメークされた韓国版「夫婦の世界」が、韓国ケーブルドラマ史上最高となる視聴率28.4%を記録するなど大ヒットとなった作品だ。
稲森さん演じる主人公は夫と子供に囲まれ“完璧な人生”を送る医師・真壁陽子。ある日、夫・昂太(吉沢悠さん)のマフラーから自分のものではない1本の長い髪の毛を見つけたことをきっかけに、徹底的に夫を追い込むべく、壮絶な復讐(ふくしゅう)劇を繰り広げていく。
藤澤さんは「ドラマ」というコンテンツの特性について、「ゴールデン・プライム帯のドラマのように、幅広い世代が見て楽しいものがある一方で、それだけではないさまざまななニーズがあって、面白くてある種とがっているものも求められている」と分析。さらに、リアルタイムの視聴率だけでなく、TVerなどによる見逃し配信やサブスクリプションサービスでの再生数などさまざまな楽しまれ方が増えていく中で、「ドラマは、放送から何年もたってから再放送してもビデオグラムが売れることもある。新しい形のビジネス、“ストックコンテンツ”として多くの可能性を持っている」と話す。
そんな新ドラマ枠の第1弾を、不倫された妻の復讐劇「夫婦が壊れるとき」にしたのもも「ベストな選択」だったという。「嫌なやつや許せないやつを見返したいという思いは誰しも抱くことがあると思うのですが、現実の世界では理不尽な目にあっても我慢しておられることが多いと思う。ドラマの中では主人公があらゆる手を使ってやり返してくれるので、見ていてカタルシスを得られると思います」と藤澤さん。「不倫ものはファミリー向きではない」と深夜枠だからこその作品だとして「浮気、悩んだことのある女性の共感も得られるのでは」と話す。
ビジネスモデルの多様化によって、日本テレビのようにテレビ局がドラマに注力する傾向がある一方、「Netflix」をはじめとした配信サービスでもオリジナルのドラマが数多く制作されている。そんな中で、テレビ局の制作したドラマにはどんなメリットがあるのだろうか。
藤澤さんは「配信サービスのドラマは予算と時間をかけて作っており、3年後、5年後を見すえたつくりも多い」と分析。それに比べてテレビ局のドラマについて「短期集中的に作っている分、時代の流れを反映させやすいところもある」と話す。「好みは年を追うごとに変わるかもしれないですし、今現在、視聴者が何を求めているのかを常に気にかけながら制作していると思います」
「ディープな人間関係や大人の恋愛模様だったりと、エッジの効いた作品を送り出していきたい」と今後のラインアップについて話す藤澤さん。テレビ局の新たな挑戦に注目だ。
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