松坂慶子:「らんまん」で早くも存在感 序盤の朝ドラに必要なベテランの力示す “ぶしむす”級の活躍ある?

NHK連続テレビ小説「らんまん」で槙野タキを演じる松坂慶子さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「らんまん」で槙野タキを演じる松坂慶子さん (C)NHK

 神木隆之介さん主演の2023年度前期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」が4月3日にスタート。第1週で早くも存在感を発揮したのが、主人公・万太郎(神木さん)の祖母・タキを演じる松坂慶子さんだ。主人公の子供時代が描かれることの多い序盤の朝ドラで、時として必要なのが、役者として酸いも甘いも知るベテランの力。前作「舞いあがれ!」の高畑淳子さん、または4年前の「なつぞら」の草刈正雄さんがそうだったように、松坂さんも抜群の安定感で物語に説得力を与えている。

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 ◇いまだ鮮烈な印象 「まんぷく」の愛されキャラ“ぶしむす”

 松坂さんと朝ドラといえば、「なつぞら」の前作として、2018年10月~2019年3月に放送された「まんぷく」の“ぶしむす”こと、主人公・福子(安藤サクラさん)の母・鈴役の印象がいまだ鮮烈だ。

 “ぶしむす”とは、鈴の口癖である「私は武士の娘です」から視聴者に付けられた愛称。鈴は福子の夫・萬平(長谷川博己さん)への不平不満をはじめ、何でも思いついたら口に出してしまう性格だが、それでいてどこか憎めない、みんなの愛されキャラとして、放送当時、ドラマを大いに盛り上げた。

 “朝ドラの母親”といえば、主人公に対して厳しかったり、優しかったりとタイプはそれぞれではあったものの、その言動や行動の裏には「子供の幸せが第一」という思いがあったはず。鈴にもそういった面はあったが、結局は自分本位というのが透けて見えてしまうこともしばしばで、むしろ、ワガママな部分を隠さないところが魅力となっていた。

 すねたり、むくれたり、時に仮病を使ったりと、あの手この手で家族を自分の都合のいいようにと誘導する鈴は、それまでの“朝ドラ母親像”からは大きく異なっていたが、松坂さんのチャーミングさ、見事なコメディエンヌぶりが光る、当たり役となったことは間違いない。

 ◇キャラクターは違えど、期待せずにはいられないワケ

 一方で「らんまん」のタキはどうなのか。ドラマの公式サイトでは、「夫と一人息子に先立たれたため、酒蔵『峰屋』を女手一つで切り盛りしている。曲がったことが許せない正しく強い女性で、跡取りの万太郎を時に厳しく、愛情深く育てる」と紹介されている。

 実際に第1週でも、万太郎(森優理斗君)や万太郎の姉・綾(太田結乃さん)に対して、時に厳しさを持って接している様子が描かれていた。また万太郎の“体の弱い母”ヒサ(広末涼子さん)の気持ちにしっかり寄り添って、励ます姿からは、家族に対する愛情の深さを感じさせた。

 そんなタキの、一本芯の通った真っすぐさと人間としての懐の深さを、必要以上に重くならずに演じ、かつ視聴者の琴線に触れてみせる松坂さん。これをベテランの力と呼ばずして、何と呼ぼうか。

 第1週の終わりでヒサが他界し、万太郎の成長を見つめる家族の視点として、より一層クローズアップされそうなタキの存在。キャラクターは違えど、松坂さんに期待せずにはいられないのが、“ぶしむす”級の活躍。第2週以降も引き続き、タキと松坂さんに注目だ。

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