前田佳織里:歌への思い 夢だったアーティストデビュー 「前田佳織里の歌って何だろう?」と自問

3月15日にEP「未完成STAR」を発売する前田佳織里さん
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3月15日にEP「未完成STAR」を発売する前田佳織里さん

 「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」「ウマ娘 プリティーダービー」などのアニメやゲームで活躍する人気声優の前田佳織里さんが、3月15日発売のEP「未完成STAR」でアーティストデビューする。前田さんは「前田佳織里の歌って何だろう?」と考えながら、初のEPを作り上げたという。前田さんに歌への思い、アーティストとしての活動について聞いた。

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 ◇ファンに感謝 循環する思い

 前田さんはアーティストデビューが発表された際に「実はデビューの発表はびっくりなタイミングと粋な計らいでマネジャーさんたちからお知らせいただきました」とコメントしていた。“粋な計らい”とはどんなものだったのだろうか?

 「私も参加しているYouTubeチャンネルの番組『AMUSE VOICE ACTORS CHANNEL』で、アーティストデビューをサプライズで発表していただいたんです。その日はほかの仕事があって、終わった後に『ちょっと打ち合わせがあるんで』と連れて行かれ、何か怖いな……と思いながら扉を開けたら、顔なじみの事務所スタッフさんたちがいたんです。怖くなって一旦、扉を閉めました(笑い)。その後、自分で『前田佳織里、アーティストデビュー』というカンペを読んだんです。びっくりしました。アットホーム感があって、優しいし温かいですね。うれしかったです。カンペを読んで、自分で発表して、知るというびっくりの展開でした」

 アーティストデビューは夢だった。

 「子供の頃、家族の前で歌ったりしていましたし、昔から好きです。専門的なことをしてたわけではないけど、やっぱり歌うのが好き。高校生の時、ガールズバンドをやって、人前で歌っていましたし、歌いたい気持ちはずっとありました。ソロデビューさせていただけて、しかも最初からアニメのオープニング主題歌も担当させていただけるなんて、こんなに光栄なことはありませんし、本当にうれしいです」

 前田さんはこれまで数々の作品のイベントでライブを披露してきた。

 「ステージはすごく楽しいです。大変なこともいっぱいあるけど、皆さんに『ステージを見て今日も頑張ろうって思った』『見返して元気もらっている』『これまで楽しみがなかったけど、楽しみが見つかりました』とお手紙をいただくこともあって、すごくうれしいんです。私は何か目立つことやお祭りが大好きで、お仕事で大変な時もあるけど、人前で表現することが、一種の息抜きにもなっている部分もあります。疲れた……というよりも、それ以上に楽しいという気持ちが強く、だからステージに立ちたいんです」

 ファンの声が前田さんの力になっている。

 「私がステージで何か伝えようとしていて、皆さんにそれが伝わり、皆さんの思いが私に届き……循環しているような関係があるんです。すてきなファンの方ばかりで、恵まれていますね。今はいろいろなことに挑戦させていただいています」

 ◇全力をぶつける 自分の殻を破る

 EPに収録される「光ったコインが示す方」は、テレビアニメ「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」のオープニング主題歌だ。難曲ではあるが、全力でぶつかった。

 「最初にレコーディングした曲です。『前田佳織里の歌って何だろう?』といっぱい考えましたし、すごく思い入れのある曲です。アーティストデビューという夢をかなえようとする今、私が歌うことに意味があると思っていましたし、『とにかく夢をかなえたいんだ!』という気持ちを全力でぶつけました。キレイにしよう、可愛くしようとするのではなく、全力をぶつけないと、薄っぺらくなってしまうかもしれません。技術的にすごく難しい曲なんです。一つ一つの壁を乗り越えて自分の殻を破れた曲でもあります」


 「前田佳織里の歌って何だろう?」と自問する中で「まだまだ第一歩ではありますが、EPの曲を全部歌って見えたところもあります」と徐々に見えてきた。

 「『Fantasy』は、攻め攻めに攻めています。自分が今までキャラクターソングを歌わせていただいた中で、こういう曲調を歌うことはなかったので、私の中で大きな挑戦でした。それに中毒性が半端ないですね。『ポジティブガール』は『始めは未完成 どんなスターも』という歌詞がEPのタイトルの『未完成STAR』にも掛かっています。励まされる曲です。大変なことがあっても、一つ一つやっていこう!という気持ちになります」

 ◇世界を股に掛けた活躍を 気になるのはドイツ

 収録曲「花香リ春薫ル」は、ほかの曲とは雰囲気が違う。しっとりしているが、力強さも感じる。

 「3月、春に向かっていく時期にぴったりの曲です。春の歌がすごい好きなんです。春に就職、引っ越しなどで不安な人もいっぱいいらっしゃる中で、背中を押すというよりは、寄り添って一緒に歩いて励ましてくれるみたいな曲が歌いたかったので、提案をさせていただきました」

 EPの制作にあたり、「花香リ春薫ル」を含めてさまざまな提案をした。

 「こういう曲が好き、ステージに対する思いなどをスタッフの方にお話しさせていただきました。すごく面白かったです。そういうことを伝えるのも初めてだったので、最初はどう伝えていいのか分かりませんでした。自分自身のことを伝え、自分の考えていることをどう表現するにはどうしたらいいのだろう?と。自分のことを見つめ直し、スタッフの皆さんとキーワードを出し合ったんです。『ステージ』『次のステップ』『狂犬』などのキーワードを挙げて、方向性を見つけていきました。好きな曲を歌いたいし、成長もしたかったんです」

 提案したり、レコーディングをしたりする中で、自身を見つめ直すことができた。

 「レコーディングの時も発見することがありました。キャラクターソングを歌う時は、キャラクターとして求められることがあります。それともまた違いますし、自分の底上げするようなところがあり、とても勉強になりました。ソロデビューして何か学んだことが、お芝居にも絶対生きるし、キャラクターソングを歌う時にも絶対生きると思います。

 最後にアーティストとしての今後の目標を聞いてみると「夢は大きく!」と語り出した。

 「まずはライブが一つの大きな目標です。まだ確実なものはないかもしれないけど、これまでにない楽しい仕掛けにも挑戦していきたいです。漠然とした目標ですが、映画が好きなので、映画館で自分の歌が流れたら最高ですよね! いつか海外でもライブをしてみたいです。歌は時代、国境を超えて届ける力があると思うので、グローバルに活躍したいです。いろいろなものを吸収したいです。ビールがおいしいドイツに行ってみたいです!」

 前田さんが世界を股に掛けて活躍する日も楽しみに待ちたい。


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