松重豊:「カムカムエヴリバディ」は迷いなく参加 「ちりとてちん」藤本有紀の脚本で決意

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で伴虚無蔵を演じる松重豊さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で伴虚無蔵を演じる松重豊さん (C)NHK

 上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さん主演のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜午前8時ほか)に出演中の松重豊さん。今作の脚本を担当する藤本有紀さんが手がけた、2007年度後期の朝ドラ「ちりとてちん」にも出演した松重さんだが、「このドラマのオファーを受けた時、思い出深い『ちりとてちん』と同じ藤本さんの脚本だということだったので、迷うことなく参加させていただくと決めました」と明かした。

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 「『ちりとてちん』の時、藤本さんの本は伏線の張り巡らせ方など、そういうものが本当に読んでいて面白くて仕方なくて、次の本が届くのが待ち遠しかったのを覚えていました」と振り返った。今作については、「展開が非常に早いので、自分の役がこれからどうなるのか、どこに着地するかということなどが、まったく予想もつかないままで、期待と不安が入り混じった気持ちで台本を読み続けています」と感想を語っている。

 松重さんが演じる伴虚無蔵は、 日本の時代劇を支えてきた大部屋俳優。殺陣(たて)は一流で、斬られ役として一目置かれている。普段から着流し姿で、時代劇言葉で話す“変わり者”。時代劇をこよなく愛するひなた(川栄さん)にとって、やがて“師匠”のような存在になっていく、という役どころだ。

 松重さんは、虚無蔵について「時代劇の全盛期に1日に三つの現場を渡り歩くような時代を経験している人です」と紹介。「自分自身の力で、時代劇をどうしていけばいいのかは分からないと思うんですが、結髪さんの技術にせよ、美術さんのテクニックにせよ、せっかく培ってきた文化・伝統というものを失ってしまうのは間違いなく惜しいものだと思うので、それを何らかの形で次につなぐことができないものか。時代劇を愛してくれているひなた(川栄さん)や(五十嵐)文四郎(本郷奏多さん)という、この時代の若い子たちに、何かバトンを渡せるんじゃないかと思っている人なんだと思います」と分析する。

 ヒロイン役の川栄さんについては、「耳と感覚の良さには驚きました」と印象を語り、「川栄さんと僕は関西人じゃないので完全にアウェーなわけですが、役として京都人でなければならない。京ことば指導の先生がいらっしゃるのですが、ご存じのように京ことばや関西ことばは、非常に視聴者からのチェックが厳しいんですよね(笑い)。ちょっと違うと『なんやあれ』と言われるという……非常に恐怖感がありまして。あの、昔の撮影所の恐怖心と相まってくるんですが(笑い)」と明かす。

 続けて、「ちゃんと誰が見ても京都人にならないといけないところを、アウェーな2人がやらなきゃいけないわけです。でも、川栄さんとのやり取りで『すさまじくリズム感のいい俳優さんだな』と思いました。そういう言葉のリズム感、会話のテンポ、それが確実にお笑いの元になっていくと思うんですが、そこの勘のいい方っていうのは生まれつきであって、努力して身に付くものではないと思うんですが、そういうものを持っていらっしゃる人です。今後、どんな役をするにしても、その耳と感覚で、将来が楽しみな人だなということは一瞬で見抜きましたけどね!」と絶賛する。

 視聴者に向けて、「今回、三世代のヒロインということで、怒涛の展開になっていますよね。ただ、藤本さんの脚本は、大河のようにどれだけ長いドラマであったとしても、いろいろなところに伏線が張り巡らされていて、それを回収するだけでも見応えがあります」といい、「俳優がぜひやりたいと心を動かされる本だと思います。この先どうなるんだろうと思いつつも、一切、前情報をもらわずに台本が届くのを楽しみにしています。視聴者の方も、そんなわくわくした気持ちで最終回までおつきあいいただければと思います」とメッセージを送っている。

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