俳優の大谷亮平さんが主演するWOWOWのオリジナルドラマ「異世界居酒屋『のぶ』」が5月15日にスタートする。大谷さんは異世界につながった居酒屋・のぶの“大将”矢澤信之役を演じる。矢澤は、食にいちずな職人気質の料理人という役どころだ。過去に料理人役の経験はほぼなかったという大谷さんだが、「居酒屋の店主という役を演じられる機会もなかなかないので、迷いなくやりたいな、とスタートを切りました」という。10月には40代に突入する大谷さんは、話題作への出演が続いているが、一つ一つの役にしっかり向き合えている現状に「満足しています」と笑顔を見せる。大谷さんに今作の撮影秘話や活躍中の現状への思いなどを聞いた。
ウナギノボリ
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「異世界居酒屋『のぶ』」は、小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた蝉川夏哉さんのライトノベルが原作。中世ヨーロッパのような異世界の古都アイテーリアにつながった居酒屋のぶを舞台に、職人気質の大将が振る舞う酒や料理を通じて繰り広げられる、あたたかな人間ドラマを描く。2012年10月に同サイトで連載がスタートし、2014年9月に書籍化。2015年にはマンガ誌「ヤングエース」(KADOKAWA)でコミカライズの連載がスタートした。ドラマはお笑いコンビ「品川庄司」の品川祐さんが「品川ヒロシ」名義で監督・脚本を務め、武田玲奈さんが「のぶ」の看板娘、千家しのぶ役を演じる。
料理はあまり得意ではないという大谷さん。信之は自身とは異なるキャラクターだが、人に料理を振る舞うことを生きがいにしている姿に共感できる部分もあるという。「居酒屋の店主という役を演じられる機会もなかなかないので、迷いなくやりたいなとスタートを切りました」と話す。
これまでに料理人役の経験はほぼなかったが、「うまく料理をすることもそうだが、なによりそう見えることが大事」と考え、現場ではカメラアングルなどさまざまな工夫をし、“うまい料理”を作っている説得力を出すことを心掛けた。『本当にうまい飯を作るんだろうな、この人』と思わせたら勝ち。そうなっていると思います」と手応えを明かす。
監督の品川さんからは、“笑い”の要素を足されることがあったという。「黙々と静かに料理している大将だからこそ『時にはこういう表情をしたら面白いんじゃないか』とアクションを追加されることがありました。クスッと笑えるテイストで、例えば静かにしているのに、大きなアクションをしたり。シーンが、その追加のアクションを入れることで面白くなるんじゃないかという演出で、品川さんならではだったんじゃないかなと思います」と大谷さんは語る。「芸人としてのイメージがあったけど、現場では正反対。みんなを明るく楽しく引っ張ってくれました。人を見て、現場がスムーズに進むようにすごく気を使ってくださったと思います」とたたえる。
撮影では新たな発見もあった。「このドラマの撮影を経て、やっぱり自分で作るレベルでも、うまいものってあるんだなと分かりました(笑い)。今回はある程度、用意していただいて、工程を聞いて料理をしたんですが、そうしたら、ある程度のものができるんです。いろいろ準備してくださるから『料理って簡単なんだ』という錯覚に陥りました」と笑顔で語る。中でも特に感動したのは、タコのアヒージョ。「ちょっとびっくりしましたね。タコのアヒージョは、これから自分の得意料理と言っていこうかなと思っています」と楽しそうに振り返る。
今作でWOWOWのオリジナルドラマで初主演を務めた大谷さん。2018年後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「まんぷく」や昨年放送された連続ドラマ「ノーサイド・ゲーム」(TBS系)といった話題作で主要キャラクターを好演するなど、俳優として充実の日々を送っている。大谷さん自身は、今の状況をどうとらえているのか。そう聞くと、大谷さんは「満足しています」と笑顔で語る。
「より上に、ということは考えるといえば考えるんですけど、そこに向かって目標を立てるということはあまりなくて、まず『一つ一つの作品』というスタンス。(どの役も)作品内で意味があり、時にはシーンの主役になるときもある。まずその役をしっかり演じ切ることを考えています。そういう意味で、満足しているんでしょうね。今、置かれている状況を、無理に自発的に動かすというより、『しっかりと自分ならではのものを作りたい』と、一つ一つの作品と向き合っています。いろんな目標を定めると、先を見てしまって自分にとってよくないので、一つ一つという思いが強いですね」
現在39歳。今年10月には40代に突入し、ますますの活躍が期待される。「目標を立てることはあまりない」という大谷さんだが、「自分の見え方や演技について『こうなっていきたいな』というのは漠然とあります」といい、「年齢を重ねて外見に変化が出る中で、いい方向に持っていけたらな、と思っています」と俳優への思いを語る。
自身の理想像だけではなく、ファンや視聴者が望む姿も抵抗なく受け入れるのが大谷さんのスタンスだ。「『大谷さんってこういう人だよね』とか『こういう人であってほしいな』という意見も、反発する人もいるかもしれないけど、僕は楽しむタイプなんです。『(実際は)違うのにな』と思うこともありつつ、そういう理想にもちょっと近づいてみようかな、と。『自分がこうなりたい』という思いと両方合わせて、少しでもいい俳優、いい男になっていくのを頑張るのも、楽しみの一つですね」とほほ笑む。「こうありたい、という思いは強い方なので、そうあるための努力は楽しんでいこうと思っています」と力強く語った。
WOWOWオリジナルドラマ「異世界居酒屋『のぶ』」は、5月15日から毎週金曜深夜0時にWOWOWプライムで放送。全10話で第1話は無料放送。
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