映画「ヲタクに恋は難しい」(福田雄一監督、2月7日公開)で俳優の山崎賢人さんとダブル主演を務めている女優の高畑充希さん。映画は“ヲタク”同士の不器用な恋愛を描いた作品で、ダンスや歌のシーンをふんだんに盛り込んだ“ミュージカル映画”だ。高畑さんは“ヲタバレ”を恐れる隠れ腐女子で、重度の“ゲーヲタ”二藤宏嵩と交際することになる桃瀬成海を演じている。高畑さんに成海の役作りやコメディーを演じることへの思いなどを聞いた。
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原作は、マンガ、イラスト投稿サイト「pixiv」と一迅社の電子書籍サービス「comic POOL(コミックプール)」でふじたさんが連載中のマンガ。2018年4月にはアニメ化もされ、累計発行部数は約900万部を突破している。今作は、アニメやマンガが大好きなことを隠している成海(高畑さん)と、イケメンで仕事もできるが、重度のゲーム好きの宏嵩(山崎さん)のヲタク同士の不器用な恋愛模様を描いたミュージカル映画。舞台では多くのミュージカルを手掛けている福田監督だが、ミュージカル映画は“初挑戦”となる。斎藤工さん、菜々緒さん、賀来賢人さん、ムロツヨシさん、佐藤二朗さんらも出演している。
周囲に“ヲタク”であることを隠している“隠れ腐女子”を演じる高畑さん。会話ではヲタク用語を矢継ぎ早に繰り出し、ミュージカルシーンでは心情を歌に乗せてステップを踏む。「毎日必死で歌と踊りを覚えて、ヲタク用語のせりふを覚えて……と無我夢中でやっていたら撮影が終わっていた、という感じでした(笑い)」と撮影の日々を振り返る。
映画ではハイテンションの成海を演じているが、成海のキャラクターをつかむまでは苦労があった。「成海の真意みたいなところが分からなくて。たとえば本当に宏嵩のことを好きなのか……とか。成海って、たぶん8割ぐらい二次元の中で生きているのかな、と思ったりしました。すごく難しかったです」と打ち明ける。演じる際は、原作にできるだけ忠実にすることを意識した。撮影前には18禁のBL本を読んで“腐女子”について勉強したといい、「BLとか、成海が腐女子になっている原因への熱のようなものは失わずに演じられたらいいなと思いました」と語る。
特に苦労したのは、早口でしゃべり続けるシーン。「すごく難しかったですね。撮影2日目で、2ページぐらい早口でしゃべるヲタク用語のシーンがあって。ヲタク用語を使い慣れていないので、焦りました」と苦笑い。「ヲタク友達としゃべるシーンで、自分のターンでしくじってはいけない、という緊張感がありましたね。間が空いてはいけない、みたいな……」と振り返る。
そういった撮影を経て、“萌(も)え”という感覚を理解するなど新しい発見も。「今まで、何かに萌えたことがなかったんです。猫同士のじゃれ合いぐらいで……。人間同士に『萌える』という感覚は、映画を撮影していく中で『こういうことか』と。新しい感覚が発見できました」と笑顔で語る。
劇中では、目を見開き、早口でしゃべり……と弾けた演技で成海を表現し、コメディエンヌとしての一面を発揮している高畑さん。撮影初日には、あるシーンで福田監督から「目を見開いていてほしい」という演出もあったそうで、「『どういうこと?』と思ったんですが、とにかく瞬きせずに真顔で(相手を)見ていてほしい、と言われて。私、目が丸いので、真顔でずっと見つめている顔が監督的に面白いらしく、すごく要求されました」と楽しそうにエピソードを明かす。
これまでも、コメディー作品や言動がどこか笑いを誘うキャラクターは数々演じてきたが、今作ほどコメディーに振り切った演技は久しぶりだったという。「近年やらせていただいた他のコメディー作品は、ストーリーがベースにあり、そこに『面白さ』というよりは『おかしみ』ぐらいのさじ加減で笑いが入っているものが多かったんです。ここまでコメディーに振り切った作品は久しくやっていなかったので、『とにかく恥ずかしがらずにやろう』と思っていました。マンガのテンションがすごいから、恥ずかしがっていてはダメだ、と……」と明かす。
最近では「忘却のサチコ」や「同期のサクラ」などで、一直線な性格ゆえのおかしみのあるキャラクターを演じてきた高畑さん。ユーモラスなキャラクターを演じることについて、「演じている間は、コメディーをやっている、という実感は、いつもないんです」という。「人が一生懸命(何かを)やっている、というのがもうおかしいから、『サチコ』や『サクラ』のときは、面白いことをやっているとは思わないでやろう、と思っていました。だけど、今回は分かりやすくやばい顔をするとか、監督からもそういう指示があって。言われたことに従う、という感じでした」と笑いながら語る。
そんな高畑さんが普段、撮影に臨む際に大事にしていることとは? 最後にそう聞くと、「新鮮な気持ち」と高畑さん。「新鮮な気持ちで現場に行くようにしています。新しい発見があるといいな、と思いながら」とほほ笑みながら語った。
※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」
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