人気グループ「Hey!Say!JUMP」の山田涼介さん主演の映画「記憶屋 あなたを忘れない」(平川雄一朗監督)が1月17日から、丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで公開される。原作は累計50万部を超える織守きょうやさんの小説(角川ホラー文庫)。人の記憶を巡る人間ドラマが描かれる。記憶にまつわる謎に迫るミステリー展開と共に、アイドルのキラキラ感を封印して普通の大学生になり切った山田さんの演技や、幼なじみ役の芳根京子さんとの掛け合いなどにも注目したい。
ウナギノボリ
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年上の恋人・杏子(蓮佛美沙子さん)と幸せな日々を送っていた遼一(山田さん)だったが、プロポーズ翌日から杏子と連絡が取れなくなってしまう。数日後に再会した杏子は、なぜか遼一の記憶だけを失っていた。
遼一は、人の記憶を消せる「記憶屋」という人物がいることを知り、弁護士の高原(佐々木蔵之介さん)や幼なじみの真希(芳根さん)らと、記憶喪失の原因を探すために記憶屋の正体に近付いていく。その中で遼一は、多くの人が記憶屋に人生を救われていることを知る。そして遼一がたどり着いた先には、運命を変える真実があった……。
核心に近付くにつれ、謎が少しずつ明かされていく、ミステリーの要素も強いが、根本にあるのは「失くしたい記憶」に対する各々の思いを描く人間ドラマだ。忘れたい過去、嫌な記憶とどう向き合うべきなのか……登場人物たちの切なく、優しい選択がそれぞれ描かれる。
主演の山田さんとヒロインの芳根さんは初共演ながら、息の合った広島弁の掛け合いで幼なじみならではの親密な空気感を表現している。過去には「暗殺教室」や「鋼の錬金術師」などマンガ原作のキャラクターを演じてきた山田さんだが、今回は真っすぐで優しい普通の大学生を好演。芳根さんは、そんな遼一を支えるハイテンションな真希を、演技力の豊富な引き出しを駆使して見事に演じた。その表現力にはうならされた。平川監督はTBS系ドラマ「義母と娘のブルース」(2018年)、映画「ツナグ」(2012年)などで知られる感動作の名手だ。(河鰭悠太郎/フリーライター)
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