俳優の松坂桃李さんが、テレビ朝日系の日曜プライム枠(日曜午後9時)に放送されるドラマスペシャル「微笑む人」で主演を務めることが1月9日、明らかになった。松坂さんは同局のゴールデン帯(午後7~10時)ドラマ初主演で、妻子を殺害したエリート銀行員の仁藤俊美を演じる。
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ドラマは、2010年に「後悔と真実の色」で第23回山本周五郎賞、「乱反射」で第63回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞した貫井徳郎さんの同名小説(実業之日本社)を初めて映像化する。「アンフェア」シリーズの原作者でもある秦建日子さんが脚本、映画「呪怨」「パラサイト・イヴ」などを手掛けた落合正幸さんが演出を担当する。
松坂さん演じる仁藤は、一流大学を卒業後、大手都市銀行に就職。妻子とともに幸せな生活を送っていたはずが、突然妻と娘を溺死させた罪に問われる。殺害の動機は「本の置き場所が欲しかった」というもの。世間が注目する裁判で、仁藤の過去が次第に明かされていく……という展開。
ドラマには、小説にはないオリジナルキャラクターとして、尾野真千子さん演じる週刊誌の女性記者・鴨井晶が登場する。晶は「週刊海潮」の契約記者で、夫に家事を任せ、再び第一線の記者として活躍しようと奮闘。ドラマ内で仁藤の事件は、晶の目線で語られる。
このほかに、晶の上司で「週刊海潮」のデスク井上肇を生瀬勝久さん、晶と旧知の仲で仁藤の事件を担当した所轄の刑事の佐藤を福田転球さん、拘置所の刑務官・滝沢を田中要次さんが演じる。
今春放送予定。
仁藤という男がやってきた行為は、もちろん許されるものではないのですが、台本を読んだ最初の印象では、なぜか嫌な感じがしなかったんです。彼の振る舞いや言動は、ある種の正論を言っている部分もあるので、不思議な感覚でした。
そんな人物なので、僕自身も演じるにあたって「仁藤はこんな男だ」というふうに思いすぎないほうがいいのかなと考えました。僕のものさしがはさまってしまうことによって彼のとらえ方が変わってしまう気がしたんです。仁藤はどの局面、どんな場面においてもフラット。だからあまり「こうだ」と決めつけることなく、そのフラットであるという部分だけを心に留めていました。作品の全編を通して感情の揺れ動きやテンションが一定という今回のような役柄は初めてだったかもしれません。
尾野真千子さんとの共演は「この世界の片隅に」(2018年、TBS系) 以来。前回は姉弟役という関係性だったので、今回はまったく違う立ち位置です。罪を犯した人間と、それを調べるマスコミ側の人間――接見室で向き合うシーンも多かったので、以前とはまったく違う感覚でご一緒しました。共演シーンはそこまで多いわけではないのですが、ワンシーン、ワンシーンがとても濃いものだったので、お芝居をしていてとても楽しかったです。合間には以前と変わらず他愛のない話ばかりしていたのですけどね(笑い)。
この作品に出てくる言葉には、心に刺さるものがすごく多い。「自分だったらどうするだろう」ということを考える時間ができるような作品なのではないかと思っています。現場でもとても熱量を感じた落合正幸監督がどんなふうに料理して完成させてくれるのか、ぜひ楽しみにしていただけたらうれしいです。
この作品を読んで、まず湧き上がったのは「異様だな」という感情でした。
完全に理解できるわけではないのだけれど、「ああ結局人間っていうのはこういうものなのかな」と思わせるような、とてもリアルな人間の感情が描かれている気がしました。その異様さをどのように演じられるだろうかと考えることがとても面白く、さらにそれをどのくらい“普通”に演じることができるかを心がけていました。私が演じる鴨井晶という女性は、いわゆる“ジャーナリスト”なのですが、ごく普通の主婦だった女性が、家事を夫に任せ、外に働きに出ている――特別なことは何もない女性でいたいと考えて現場に入りました。
この作品で仁藤が語る「殺害の動機」って、一見しただけだと「え、それってどうなの」というものだけれど、実は誰しもが心の中に持ち得る感情なのかもしれないと思うんです。感覚というものは、人それぞれである、という面白さと、現実世界においても理由付けが難しい事柄が起きている怖さを、お見せできたらなと思いました。
松坂桃李さんとはこのたび二度目の共演となりました。前回は“弟”だったのですが、今回は“取材対象である殺人者”です。……何でしょうかね、彼の見せる「ほほ笑み」。これまでに私が見てきた「本当にいい人だな」というほほ笑みから一転して、今回は「ぞっとするようなほほ笑み」を見せられました。松坂桃李の中にあるまた新たな表情を垣間見た気がして、これからもさらに違う桃李くんが見たいな、と思わせてくれる作品になりました。
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