暮石ヤコさんのマンガが原作のテレビアニメ「ソマリと森の神様」が、1月9日深夜からTOKYO MXなどで順次、放送される。主人公の少女ソマリと共に旅をする森の番人ゴーレムを演じたのが声優の小野大輔さんだ。小野さんは、感情を持たないゴーレムを演じながらも、彼を「おとうさん」と呼び、無邪気に接してくる可愛いソマリに対し、「音響監督さんに『愛情がダダ漏れてしまっているので、もうちょっと抑えてください』と言われることもあった」と苦労を明かす。演じる上でのこだわりや作品への思いを聞いた。
ウナギノボリ
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「ソマリと森の神様」は、ウェブマンガサービス「ゼノン編集部」で連載中のマンガ。舞台は太古の時代、争いに敗れた人間が絶滅の危機に瀕(ひん)し、異形の生物に支配された世界、森の番人のゴーレムと人間の娘のソマリが出会い、ソマリはゴーレムを「おとうさん」と呼び、親子の旅が始まる……というストーリー。テレビアニメでは、水瀬いのりさんがソマリ、小野さんがゴーレムを演じる。
小野さんが演じるゴーレムは「余分な感情は備わっていない」という無機質なキャラクターだ。演じる上で「難しさ」を感じることもあったという。
「ソマリが元気で可愛くあればあるほど、おとうさんはより寡黙に、心がない、感情がないというところをことさら強調することになる。淡々と言葉をつむいでいかなければいけない。それは演者としては、足し算ではなくて、引き算なんです。最初は難しい部分でもありました。だから、音響監督には、『おとうさんの愛情がダダ漏れてしまっているので、もうちょっと抑えてください』とディレクションをいただきました」と語る。
音響監督からは「水瀬さんが演じる元気で天真爛漫(らんまん)なソマリと、感情のないゴーレムのやり取りが合わさって100になる」というディレクションを受けたといい、「ソマリとおとうさんで一つの役というお芝居。それをアフレコの中で見つけられたので、すごくいい経験になりました」と振り返る。
ゴーレムに関しては、森の番人という特異なキャラクターということもあり、声にエフェクトをかける可能性もあったという。
「『どうしますか?』という相談になったときに、監督も助監督も『エフェクトはなしでいきましょう』と。エフェクトをかけることによってお芝居の掛け合いができなくなってしまうのですが、スタッフの皆さんはお芝居のことを優先してくださった。生の声でおとうさんを演じられるようにしてくださったからこそ、ソマリとやり取りができて、一緒に役を作れたという感覚があります。それはありがたかったです」と話す。
小野さんは、「ソマリと森の神様」は、自身にとって「大事にしていた思いがちゃんと結実するような作品になりました」と力を込める。
「僕は、人と一緒にものを作ることがすごく好きなんです。むしろ、声優一人では、何もできないと思っていて……。役がないと何もできないですし、人のせりふを聞かないと何も表現はできないと思うんです。この作品では、スタッフ、キャストの皆さんがそれぞれ本当に素晴らしい表現と熱量をくださって、やっぱり人と一緒にものを作るのは、素晴らしいことだなと改めて感じました」と語る。
最後に「できるだけたくさんの人に見ていただいて、人と一緒に過ごす時間、出会いの大切さを感じていただけたらうれしいなと思います」とメッセージを送った。
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