富田望生:10代の“唯一無二”のバイプレーヤー 目指す女優像は樹木希林さん

富田望生さん
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富田望生さん

 俳優の菅田将暉さん主演の連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系、日曜午後10時半)に出演中の女優の富田望生(みう)さん(18)。人気マンガが原作のドラマ「宇宙(そら)を駆けるよだか」(Netflixで配信)、「今日から俺は!!」(日本テレビ系)、「恋のツキ」(テレビ東京)、そして広瀬すずさん主演の2019年度前期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」と、話題作のキャストには彼女の名前がある。富田さんは、以前のインタビューで目指している女優像として「樹木希林さんです」と日本が誇る名脇役の名前を挙げており、その志の通り10代の女優の中では唯一無二の存在となりつつある。その魅力とは……。

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 ◇クラスに必ずいた「あの子」を思い出させる不可欠な存在

 富田さんは、2000年2月25日生まれ、福島県出身の18歳。映画「ソロモンの偽証」(15年)で本格的に女優デビューし、女性ダンス&ボーカルグループ「E-girls(イーガールズ)」の石井杏奈さん演じる三宅樹理の友達・浅井松子を演じた。当時、14歳だった富田さんが役作りのために15キロの増量をしたことも話題となった。

 17年には広瀬すずさん主演の映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」、アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーが多数出演した「あさひなぐ」に出演し、18年には映画「SUNNY(サニー) 強い気持ち・強い愛」で、お笑いタレントの渡辺直美さん演じる梅の高校生時代を演じた。

 富田さんの存在は、「美少女」と呼ばれる若手女優らの中にあって、より輝くように思える。それは、そのぽっちゃりとした体形や親しみやすいルックスはもちろんのこと、女子の集団やクラスという集合体を描く上で、なくてはならない存在であるからではないだろうか。中学や高校時代にクラスの中に必ず1人はいた存在だ。

 「SUNNY」で演じた底抜けに明るいムードメーカー、「3年A組」でのクラスの中心人物ではないものの大事な場面で鋭い指摘をしてくれる存在、あるいは「ソロモンの偽証」で演じた普段はオドオドとしていて自分から意見を言うことはないが、絶対に裏切らない大切な友達。集団の中にいる富田さんが演じるキャラクターは、学生時代の「あの子」を思い出させる。それゆえに、富田さんが出演する作品の学校はリアルさを帯びるように思える。

 ◇「宇宙を駆けるよだか」で見せたヒロイン力

 それまで作品を脇で支える役どころが多かった富田さんが、さらに注目を集めたのが、昨年から動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」で配信されているドラマ「宇宙(そら)を駆けるよだか」への出演だ。

 ドラマは、川端志季さんの人気マンガが原作の作品で、容姿端麗で前向きな性格の小日向あゆみ(清原果耶さん)と、コンプレックスを持つ海根然子(富田さん)の体が入れ替わってしまうというサスペンス&ラブストーリー。富田さんは、然子と、外見が然子となったあゆみを見事に演じ分け、SNSでも「富田望生さんは名演だった!」「演技の幅がただただすごかった」「演技力に圧倒された」と絶賛の声が上がった。

 あゆみ(外見は然子)は、クラスメートに不当な扱いを受けながらも、自分の体を取り戻すべく、また然子をも救おうとする強いヒロインだった。富田さんは、清原さんと二人三脚であゆみと然子を演じきり、“ヒロイン力”も持ち合わせていることを視聴者に知らしめた。

 富田さんは以前のインタビューで、目指している女優像は「樹木希林さんです。主演をされているときは主演なんだけど、脇役のときは作品の中にナチュラルに存在されている。その存在感がすごいって感じています」といい、「私も役の番手を気にするよりも、今やっている役に一生懸命向き合うことを大切にしています」と語っている。その役に対する真摯(しんし)な姿勢が、彼女が作品の中で放つ存在感につながっているのかもしれない。

 放送中のドラマ「3年A組」では、柔道部に所属する“怪力女子”魚住華を演じる富田さん。公式サイトのインタビューでは「華ちゃんに見えるもの。華ちゃんが見せるもの。だけではなく、見えなくて……見せない……深い部分に湧く感情を、徐々にクラスの中で異物化していきたいです」と語っている。まだまだ謎の多いストーリーの中でどのような活躍を見せるのか、注目したい。

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