アニソンが充実していることで知られるタワーレコード新宿店。このほど2018年のアニソン年間ランキング(17年12月18日~18年12月5日集計)が発表され、男性声優によるラップバトルプロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」(ヒプマイ)の「MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼(まてんろう)」が1位となりました。担当バイヤー・樋口翔さんに、本チャートを基に18年のアニソンシーンを振り返ってもらいました。
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18年は、ヒプノシスマイクが大ブレークし、根強い人気を誇る「アイドルマスター(アイマス)」シリーズや、アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE」(うたプリ)シリーズをしのぐほどの勢い見せた1年となりました。
ヒプノシスマイクは、12人の男性声優がキャラクターとしてラップを歌い、そのCDを発売していくプロジェクトで、17年秋に始動。ラッパーはシンジュク、ヨコハマ、イケブクロ、シブヤと地区(ディビジョン)ごとにチーム分けされていて、昨年5月からは各チームがラップで戦うラップバトルを収録したCDも発売されました。
当店年間1位を獲得した「MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼」は、ヨコハマの「MAD TRIGGER CREW」とシンジュクの「麻天狼」が戦った最終決戦のラップバトル曲を収録した同プロジェクトの最新CDで、昨年11月14日に発売されました。発売から1カ月足らずで年間のトップに躍り出たという結果からも、コンテンツの勢いが感じられます。さらに、シブヤとシンジュクのバトル曲が収録された「Fling Posse VS 麻天狼」が4位、イケブクロとヨコハマのバトル曲が収録された「Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW」が6位と、同プロジェクトから今年リリースされたCD全作がトップ10にランクインする結果となりました。
ヒプノシスマイクは、現在はグッズ販売やコミカライズ化などメディアミックス展開を始めていますが、“音楽原作キャラクターラッププロジェクト”と銘打ち、あくまでCDで提供する楽曲をコンテンツのベースにしています。近年、ゲーム化やアニメ化をきっかけにブレークしたコンテンツが大半を占める中、非常に珍しい例だと言えます。
言葉を操るプロである声優とラップという組み合わせもさることながら、楽曲提供陣に音楽ギルド「月蝕會議」やラッパーのサイプレス上野さん、ロックバンド「山嵐」といったコアな音楽ファンもうならせるラインアップをそろえ、音楽のクオリティーにこだわった“ラップへの本気度”がファン拡大の理由の一つです。さらに、バトルCDには推しのディビジョンに投票ができるシリアルナンバー入りのカードが封入されていて、ファンがコンテンツに参加できるギミックも人気を過熱させました。
「アイマス」は、「アイドルマスター ミリオンライブ!」から派生したリズムゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ(ミリシタ)」発のCDシリーズ「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION」が年間を通して人気を集め、3作がトップ5にランクインしました。
これまで「ミリオンライブ!」発のCDは、キャラクターが歌うソロ曲をまとめた内容が多かったのですが、「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION」は、ゲーム内の劇中劇でキャラクターがある作品の役柄を演じ、その役として歌唱したキャラクターソングとドラマパートを収録する形式となっています。役柄を通して、自分が応援してきたアイドルの新たな魅力を知ることができるため、ゲーム内で新たな劇中劇のテーマとキャラの配役が発表されるたびに話題に。従来のファンだけでなく、新規ファンの心もグッとつかんだシリーズとなりました。
7、8位には、今年公開の「うたプリ」の劇場版アニメ「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム」の挿入歌が登場し、劇場版への期待値の高さがうかがえる結果に。また、「うたプリ」は10年にスタートし、いまやご長寿コンテンツの一つとなっていますが、長年のファンの方の支持は厚いままで、その熱量が今回のトップ10入りにつながっています。
テレビアニメの主題歌では、「Fate/Apocrypha」や「ギルティクラウン」など人気作のアニメ主題歌を多く収録した音楽ユニット「EGOIST(エゴイスト)」のベストアルバム「GREATEST HITS 2011-2017“ALTER EGO”」が9位にランクイン。ほかにもトップ10圏外ではあるものの、「ゆるキャン△」のサウンドトラック、「からかい上手の高木さん」のエンディングで流された高木さん役の高橋李依さんが歌うカバー曲アルバム、声優の上坂すみれさんが歌う「ポプテピピック」のオープニング曲「POP TEAM EPIC」など、ヒットアニメから生まれた楽曲も人気を集めました。
ほかにも18年に特徴的だったのは、ネットシーンからブレークしたアーティストの活躍です。10位にランクインした、ボカロPのn‐buna(ナブナ)さんがボーカリストのsuis(スイ)さんを迎えて結成したバンド「ヨルシカ」のほか、トップ10以降でも、音楽ユニット「Doctrine Doctrine(ドクトリンドクトリン)」、歌手のナナヲアカリさんらの作品が上位に入っています。
ネットからのアーティストは、アニメなどのタイアップがない場合も多く、世界観や楽曲のよさでファンの心をつかんでいます。ボカロP出身の米津玄師さんをはじめ、アニソンシーンだけでなくJ-POPシーンでも注目を集めるネット発アーティストは、19年も話題となりそうです。
1位 「MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼」 MAD TRIGGER CREW/麻天狼 アルバム
2位 「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 06 Cleasky」 Cleasky シングル
3位 「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 05 夜想令嬢 ‐GRAC&E NOCTURNE‐」 夜想令嬢 ‐GRAC&E NOCTURNE‐ シングル
4位 「Fling Posse VS 麻天狼」 Fling Posse/麻天狼 シングル
5位 「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 04 プリンセススターズ」 プリンセススターズ シングル
6位 「Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW」 Buster Bros!!!/MAD TRIGGER CREW アルバム
7位 「FLY TO THE FUTURE」 QUARTET NIGHT シングル
8位 「ウルトラブラスト」 ST☆RISH シングル
9位 「GREATEST HITS 2011-2017“ALTER EGO”」 EGOIST アルバム
10位 「負け犬にアンコールはいらない」 ヨルシカ アルバム
※左から順に、タイトル、アーティスト。ランキングはシングル、アルバムをまとめて集計。
樋口翔 タワーレコード新宿店7階(邦楽・販売促進)アニメ担当バイヤー。2014年に町田店から異動。アニメにハマったきっかけは「新世紀エヴァンゲリオン」「BLUE SEED」「VS騎士ラムネ&40炎」など1990年代の作品で、アニソンの中でもキャラソン、とりわけアイドルアニメ関連の楽曲を愛聴。マイアンセムは「アイドルマスターミリオンライブ!」より「Up!10sion Pleeeeeeeeease!」。お気に入りのアニメ・ゲーム作品は「プリティーリズム」「アイドルマスター」「フォトカノ」「サクラ大戦」など。
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