ロックバンド「ユニコーン」のメンバーとしても活躍するミュージシャンの奥田民生さんが、15日公開のディズニー/ピクサーの劇場版アニメ「カーズ/クロスロード」日本版エンドソングとして書き下ろした新曲「エンジン」を12日にCDリリースした。2015年に設立した自主レーベル「ラーメンカレーミュージックレコード」ソロ第1弾作となるシングルの表題曲で、渋みと力強さを併せ持つギターがスケール感を演出する骨太なナンバーだ。子供のころから車好きで、自ら「『カーズ』ファン」を公言する奥田さんに、「エンジン」の制作エピソードのほか、車や「カーズ」の魅力、ユニコーンを含む音楽活動などについて聞いた。
ウナギノボリ
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――奥田さんは小さいころから車がお好きで、「カーズ」ファンでもあったそうですね。
子供のころ、おばさんの家によく預けられていたんですけど、そこが車の修理工場で、とにかく車がたくさんあったんです。車のカタログもあって、絵本代わりによく見ていたので、その影響が大きいと思います。車に乗って走るというのは、車が守ってくれてる感じもあるし、ちょっと自分を大きく見せられるというか。あと単純に、機械が好きというのもあるし。それに、車って一人で乗っていたらもう完全個室じゃないですか。考え事もしやすいし、曲のアイデアみたいなものが出てくることもありますしね。
「カーズ」は車がしゃべるっていうところや画(え)的にも好きで前から見ていたので(エンドソングの担当が決まったときは)うれしかったです。「トムとジェリー」とかを子供のころに見ていた世代で、昔、見ていたそういうアニメの中に車がしゃべったりするものがあって、それを思い出して、懐かしかったりもして。
――「カーズ」で特に好きなキャラクターは?
タイヤ交換のルイジですね。職人というか、みんなより(タイヤ交換が)速くてすごいですね。(主人公のライトニング・マックィーンの親友の)メーターも好きですけど、吹き替え版だと、ぐっさん(メーターの声優を務めた山口智充さん)の顔しか浮かんでこないんで(笑い)。
――今回の「カーズ/クロスロード」は、天才レーサーのマックィーンが新たな世代の台頭やレース人生を揺るがす大クラッシュに遭い、人生の岐路に立たされるという内容で、そんな物語に沿った形で日本版エンドソング「エンジン」を制作されたそうですね。実際にどんなシーンをイメージされたんですか。
やっぱり走っているシーンですね。でもレースをしているところというよりは、普通の道だったり、トラックが走っているところとか……。わりと実写のようにきれいに(広大な風景が)引きで映っているシーンがあったじゃないですか。ああいうのはイメージにありました。歌詞は、「行く、行かない」という本人の意思にかかわらず、進まなきゃいけないというか、「あれこれ言ってる暇はないぞ」みたいなイメージですね。曲調もそんなに明るいタッチではないですが、今回のストーリーには合ってるのかなと思いながら、(本編の)最後に流れているところを聴いていましたね。
――楽曲のイントロのアコギのフレーズは、エンジンをかけてアイドリングをしているイメージで作ったそうですが、このアイデアが生まれたきっかけは?
打ち合わせのときに「最初は静かにアコースティック(ギター)で始まるとか、どうですかね」みたいな意見を言った方がいて、「じゃあそうします」って最初の始まり方だけ決めたんですよ。(アイドリングのイメージの元になったので)それを言ってもらってよかったなと思って。
――ご自身でも実際に車を運転しながら「エンジン」を聴いたそうですが、いかがでしたか。
いいと思いますよ。そんなにスピードを上げようとも思わないし、安全運転できると思います(笑い)。
――「エンジン」は、奥田さんが15年に設立した自主レーベル「ラーメンカレーミュージックレコード(RCMR)」からの初のソロ名義の新曲になりますが、そもそもレーベルを設立しようと思った動機は? レーベル名の意味合いもぜひ教えてください。
最近はCDだけを売っている時代ではもうなくなってきて、配信やYouTubeのようなものもたくさんあるところで、なるべく自由にやりたいなと思って。単純にラーメンとカレーが好きで、昔からそういう(ラーメンやカレーにちなんだ)Tシャツとかグッズを売っていたりしたので、ついでに会社名にしたんです。「ミュージック」は本当は「明太子」だったんですけど、一応、音楽業界ということで「ミュージック」に変えさせていただいて、音楽もちょっと好きだというアピールをしたんです(笑い)。
――「カーズ/クロスロード」は「人生の選択・決断」がテーマになっていますが、奥田さんが音楽活動の中で「大きな決断をしたな」と思ったことは? レーベル設立も一つの決断だと思うのですが……。
そういうふうに考えたことがあんまりなくて、最初にバンド(ユニコーン)を解散したとき(1993年)ぐらいですかね。今までみたいにはできないから考えなきゃいけないんだなっていうのは確かに思いましたし。今はユニコーンもやってますけれど、そこではむしろ他のメンバーに(決断を)委ねたりしてます。
――映画の本編では、世代交代、現役レーサーから指導者へ、といった過程も描かれています。ご自身は若手に教えていきたいという思いはありますか。
もちろん聞かれたら教えてみたい部分はありますけど、僕らの場合は、引退して指導者に回る、みたいな話にはなかなかならなくて、いつまでたっても同じ職業のままなんで、若手を盛り上げてもこっちが苦労するだけっていう(笑い)。それに、まだそんな余裕がないですね。今のところはまだ、次から次へと仕事があったりオファーもいただいたりしていて、それをやるのに精いっぱいみたいなところもあるので。まあ、いつかオファーがなくなったら指導者に……(笑い)。
<プロフィル>
おくだ・たみお 1965年生まれ、広島県出身。87年にロックバンド「ユニコーン」のメンバーとしてメジャーデビューし、93年にバンドが解散。94年にシングル「愛のために」で本格的にソロ活動をスタートさせた。「イージュー★ライダー」「さすらい」、井上陽水さんとのユニット「井上陽水奥田民生」名義のシングル「ありがとう」などがヒット。2015年に自身のレーベル「ラーメンカレーミュージックレコード(RCMR)」を設立。今年9月6日には同レーベルからの初のオリジナル・ソロアルバム「サボテンミュージアム」を発売予定。09年にユニコーンを再始動して以来、バンド活動も並行して行っている。
*……発売中のシングル「エンジン」は映画「カーズ/クロスロード」(ディズニー/ピクサー)日本版エンドソングの表題曲「エンジン」と「ENGINE」(「エンジン」英語詞バージョン)の全2曲入りで1500円(税抜き)。初回仕様盤にはステッカーを封入。
(インタビュー・文・撮影:水白京)
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