モデルで女優の波瑠さんが主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あさが来た」の視聴率が、10日に自己最高となる24.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録するなど好調だ。波瑠さんが演じる主人公・あさのサクセスストーリーを軸にしながら、宮崎あおいさんが演じるあさの姉・はつの苦難を描いている。姉妹のダブルヒロインのようにも見え、メディア文化論が専門の稲増龍夫・法政大学社会学部教授は「パブリックイメージだと宮崎あおいさんが力強いあさ、波瑠さんが幸薄いはつだが、それを逆に配役したところに面白みがある。結果、両方のキャラクターが際立ち、光るようになった」と分析する。「あさが来た」の好調の理由を探った。
ウナギノボリ
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「あさが来た」は、京都の豪商の次女・今井あさ(波瑠さん)が大阪で炭鉱、銀行、生命保険などの事業を起こし、日本で初めての女子大学設立に尽力する姿などを描く。あさのモデルは“明治の女傑”といわれた実業家・広岡浅子。宮崎あおいさんや寺島しのぶさん、玉木宏さんらも出演している。朝ドラでは初めて幕末から物語がスタートしたことも話題になっている。
ドラマでは、あさが炭鉱の経営に乗り出すなど実業家としての片鱗(りん)を見せている一方、宮崎さんが演じる姉・はつは嫁ぎ先の山王寺屋が潰れ、一家で夜逃げする。さらに、妊娠したものの、夫の惣兵衛(柄本佑さん)が失踪してしまうなど苦難の日々が続いている。対照的な2人の人生がドラマチックに描かれている。
2014年に放送され高視聴率を記録した「花子とアン」でも吉高由里子さんと仲間由紀恵さんのダブルヒロインが話題になったこともあり、朝ドラではダブルヒロインは珍しくない。稲増教授は「ダブルヒロインでも、ヒロインの年齢が異なるパターンはこれまでにも結構あったが、『花子とアン』があったものの、同時に出演しているパターンは珍しい」と話す。また、宮崎さんは2006年放送の朝ドラ「純情きらり」の主演を務めたこともあり、朝ドラヒロインの“後輩”の波瑠さんをサポートしているようにも見える。
ヒロイン・あさをめぐるイケメンな男たちもドラマの魅力の一つだ。玉木さんが演じるあさの夫・白岡新次郎と、 ディーン・フジオカさんが演じる政府の役人、五代友厚(才助)という存在がドラマのスパイスになっている。新次郎は、商売には興味がなく、趣味に生きるいつまでもフラフラしているダメ人間にも見えるが、あさをサポートし、時には的確なアドバイスを送るなど重要人物だ。
一方で、五代は、あさの仕事のパートナーとなる存在で、新次郎とは対照的に熱い男性。あさに恋心を抱いているようにも見える。稲増教授は、新次郎と五代について「ステレオタイプな対比をうまく使って描いている。それはあさとはつも一緒」と説明する。
萬田久子さんが演じるはつの義母・菊の嫁イビリも話題になるなどベタな展開もあり、見どころは満載だ。はつは幸せになるのか? あさはどのように成功を手にしていくのだろうか……。稲増教授は「経済ドラマとして見ても面白いし、歴史の激動の中でキャラクターたちがどうなっていくのか、朝ドラではこれまでになかったパターンで興味深い」と話しており、今後の展開から目が離せない。
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