コミケ88:著作権非親告罪化で同人活動の制限に懸念 「ネギま!」作者らがTPPでトークイベント

トークイベント「TPPの著作権条項を考える」に登場した赤松健さん(右から2番目)や松智洋さん(右端)
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トークイベント「TPPの著作権条項を考える」に登場した赤松健さん(右から2番目)や松智洋さん(右端)

 人気マンガ「魔法先生ネギま!」の作者・赤松健さんや、ライトノベル「迷い猫オーバーラン!」の松智洋さんらが14日、「コミックマーケット88」が開催中の東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれたトークイベント「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の著作権条項を考える~非親告罪化、保護期間延長、そして法定賠償金~」に登場した。TPPでは著作権法の非親告罪化について合意の見通しがついたとの報道があり、同人誌活動への影響について松さんは「権利者の暗黙の了解を得たファン活動が、続けられないのではないか」と懸念を示した。

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 同人誌の中でも人気作品をモチーフにしたものは、ファン心理もあることから、著作権者の“お目こぼし”があり、それを受けて同人活動が拡大した歴史がある。しかし著作権の「非親告罪化」により、第三者からの告発や警察・検察の判断で刑事責任を問われる可能性があるという。

 イベントは、コミケ初日の終了後に開かれ、コミックマーケット準備会が主催した。まずTPPで懸念される非親告罪化、保護期間延長、法定賠償金の3点の説明があり、それを受けて各出演者が意見を述べた。同人誌の活動について赤松さんは「作家側から訴えることはなかなか考えづらい。だってファンですよ。そうでないと同人誌は書けませんから」と持論を述べ、コミケについて「今のまま生かし続けることを模索したい」と話した。

 準備会のスタッフでもある松さんは、コミケの現状について質問されると「そもそも現状がグレーであるかを認識したくないので……」と返して会場の笑いを誘いながら「コミケは性善説で運営している。出版社もプロの作家も参加しているし、喜んでもらえるはず」と話した。

 TPPは、日本や米国など太平洋の周辺国が参加する自由貿易圏のことで、関税を撤廃したり、経済ルールを統一したりして、貿易や投資を活発にするのが狙い。一方で各国の思惑がぶつかり、交渉は難航している。知的財産の分野では「著作権の非親告罪化」「著作権の保護期間の延長」「法定賠償金の制度」が持ち上がっていると言われている。

 著作権は現在、権利者が権利侵害を告訴しなければ罪が問えない「親告罪」となっているが、「非親告罪」になれば、権利者の告訴がなくても罪が問えるようになる。また著作権の保護期間も現在は50年だが、70年、100年に延長する案があるという。さらに懲罰的な意味を込めた高額な賠償を要求できる「法定賠償金」の制度導入も持ち上がっているとされる。

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