注目映画紹介:「マクダルのカンフーようちえん」ほんわかした絵柄でシビアな競争社会を描く

「マクダルのカンフーようちえん」の一場面 (C)Bliss (C)SEGA
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「マクダルのカンフーようちえん」の一場面 (C)Bliss (C)SEGA

 子ブタのキャラクター、マクダルを主人公にした劇場版アニメ「マクダルのカンフーようちえん」が11日に公開される。マクダルは、香港の国民的キャラクターで、ちょっぴりドジでお人よしという性格。雑誌に連載されたアリス・マクさんとブライアン・ツェーさんのマンガが原作で、テレビシリーズと長編アニメーションシリーズが作られ、中国で大人気のキャラクターになった。日本語吹き替え版では、マクダルの声を人気子役の鈴木福君が、マクダルのガールフレンド役の声を女優の剛力彩芽さんが担当している。

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 香港の春田花花幼稚園に通うマクダルは、勉強とスポーツが苦手だが、優しい子で、ママのことが大好き。マクダルを女手一つで育てているミセス・マクは、息子を立派に成長させるべく、あらゆる教育方法を試みているが、効果は出ていない。ある日、ミセス・マクはマクダルと中国の武漢市を目指す。向かった先は、中国二大拳法「武当拳」の発祥地・武当山にある名門幼稚園「カンフーようちえん」だった……という展開。

 ほんわかほのぼのムードの絵柄と「ようちえん」というタイトルにだまされてはいけない。香港の現代社会を映し出し、ときには社会への皮肉も交える。一貫して存在しているのは「憂い」だ。マクダルは母子家庭の一人息子で、我が子の教育に必死になる母ブタのミセス・マクと、それに応えようと頑張るマクダルが描かれている。それだけでも切ないのに、勉強も運動もダメなマクダルは、1人、中国の「カンフーようちえん」に放り出される……。息子を預けている間、ママは中国でフランチャイズビジネスを学んでいた。なんて現実的でシビアな内容なのだろうか。競争社会で闘う母子の物語。マクダルは短い手足をばたつかせ、不器用そうに見えて、意外や意外、そのつぶらな瞳で、現実をきちんと見据えていた。人気子役の福君が不器用なマクダルを、器用に演じているのも見逃せない。11日からシネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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