はじめの1巻:「孔明のヨメ。」 三国志に魂ささげる作者が描く孔明の初恋

杜康潤さんのマンガ「孔明のヨメ。」(芳文社)1巻の表紙
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杜康潤さんのマンガ「孔明のヨメ。」(芳文社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、4コママンガ誌「まんがホーム」で連載、諸葛亮孔明と黄月英の新婚生活をラブコメとして描いた杜康潤(とこう・じゅん)さんのマンガ「孔明のヨメ。」(芳文社)です。

ウナギノボリ

 物語の舞台は、昔の中国・荊州。名家に生まれ、学問や工作が好きな20歳の女性・黄月英は、結婚に希望がもてず、求婚に来た数々の男性を驚かせては帰してしまう。困った父・黄承彦は、婿を探すため出かけた先で、女性の学問に理解のある男性と出会う。それは“変人”として有名な諸葛亮孔明で……。

 ◇編集部からのメッセージ まんがタイム編集部 水元麻里さん「三国志の知識がない人にも」

 三国志を題材に描いてほしいとお願いした時、杜康さんは「え、いいんですか? 私が!?」とびっくりされていました。「魂をささげてます!」と言い切り、中国に留学してしまったくらい杜康さんは情熱のすべてを三国志に傾けてきた方。やるからにはただ単に歴史をなぞるのではなく知識がない人にも楽しんでもらえる作品にしたいと悩んだ末、主人公は三国志で人気の1、2位を争う諸葛孔明にしつつも、朴訥(ぼくとつ)な青年と世間知らずな女の子の結婚から始まる初恋物語として始めることにしました。

 天才軍師以前の孔明が新妻の言動に照れて、困って、初めての感情に出合いゆっくり「夫婦」になっていく。こんな孔明、ほかでは見られません。

 杜康さんはキャラクターと自分の中で相談しながら作品を作り上げていく作家さんです。2巻から登場する孔明の親友、徐庶はかなりのおしゃべりらしく言いたいことが山ほど! なかなか黙ってくれなくててこずっているらしいです。

 コミックス作業が無事に終わってほっとした杜康さん。実は自分へのごほうびにうきうきと中国へ飛び立ってしまいました。本当に三国志に魂をささげてます! そんな杜康版三国志「孔明のヨメ。」、とにかく面白いです。絶対に名作になるのでぜひ読んでみてください。

 ◇書店員の推薦文 コミック高岡 市川祐治さん「“モジモジキュート”な愛情いっぱい」

 初めまして。コミック高岡店長 市川です。

 このたび、まんたんウェブの1コーナー、はじめの1巻を担当することになりました。

 考えてみれば「はじめの1巻」としてご紹介するということは、これからこのマンガに期待できますっていうこと。もしかしてこれってかなり責任重大なのでは。うわわ、ドウシヨウ。

 とにかく頑張ってご紹介していこうと思います。これからよろしくお願いいたします。

 さて記念すべき最初の1冊は“モジモジキュート”な愛情いっぱいの三国志4コママンガ「孔明のヨメ。」。

 面白い。今までもたくさんの三国志マンガを読んできましたが、どれとも違う面白さ。

 まさに新感覚! 謎多き女性・黄月英をこういう“ホエホエ”としたキャラクターとして中心に置くことで、なじみある登場人物のイメージを損なわないまま、今までにない切り口でその魅力を改めて引き出すことに成功させております。

 また一見ライトな感じにも見えますが、壮大な三国志の世界観をキャラクターのセリフや行動で上手に盛りこみ、歴史モノであるという重厚なイメージが全編に漂っています。それが物語の読み応えや、主人公たちの波乱な人生を感じさせるものになっています。

 皆様も杜康潤先生が作りだした、この新しい三国志スタイルを堪能してみてください。

 超オススメですよ。読んだそのときからしばらくは、とてもニコニコした気分で過ごせること請け合いです! ホントに超オススメ!

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