ノンスタ石田明:「被災地に作品届けたい」 念願の「スピリチュアルな1日」再演決定

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 お笑いコンビ「NON STYLE」の石田明さんが11年に主演した舞台「スピリチュアルな1日」が、6月から再演されることになった。前回は東京公演のみだったが、今回は大阪と仙台を加え全国3都市を回り、さらに新キャストとしてお笑いコンビ「ラーメンズ」の片桐仁さんを迎えてパワーアップ。 石田さんにとって「M−1グランプリの優勝以降、僕の大きなターニングポイントになった」という思い入れの強い舞台にかける熱い思いを聞いた。(毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 「スピリチュアルな1日」は、心霊特集で放送する予定のドキュメンタリー映像に問題が発生し、テレビディレクターの三井(石田さん)は、自宅に今話題の霊能カウンセラーを招き、撮り直しを試みる。しかし近隣住民や本物の幽霊にまで振り回され、撮影は難航するハメに。そんな中、来るはずのない訪問者がやってきて、事態を思わぬ方向へと導いていく……というホラー風味のヒューマンコメディー。

 「90%が笑いで、残りの10%が感動プラス元気です。出てくる人みんなが可愛らしいというか……全員にそれぞれ物語がしっかりあって。最後は、みんな新しい一歩を踏み出すような物語です」と今作の魅力を語る。

 昨年の舞台は、本番直前に東日本大震災が起きた影響で一部公演を中止。3日間だけの上演となった。当時のことを「毎回公演が終わるたびに感謝の気持ちでした。『あー、できた』って。『本当にやらせてもらえた、ありがとう』って。ホンマ1回公演と2回公演の間で余震が起きたりしてたんで、でも不思議と本番中は1回も揺れなかったですよ」と振り返る。

 そして今回、再演に至ったのには、キャストやスタッフ、観客の強い要望の声があったからだという。千秋楽の日に石田さんは「このままじゃダメだ。こんなところで終わらせたらアカン」という思いにかられ、「カーテンコールで感極まって『再演やります』って勝手に言っちゃったんです。『被災地にも行きます』って」。さらに、その直後、宮城県気仙沼市の避難所を友人と物資を持って訪れた石田さんは被災地の現状を目の当たりにし、改めて「被災地に『スピリチュアルな1日』を届けたい」という思いを強くしたという。それゆえに舞台終了からわずか2カ月後の昨年6月に再演が決定し、念願の仙台公演も実現したときの喜びはひとしおだった。石田さんはそのときの思いを「やったー、きたー!って」と満面の笑みで語った。

 ヒロイン役の須藤理彩さんら、前回のキャストも引き続き出演。彼らとは深い絆で結ばれている。「全員仲いいです。震災っていうのもあったと思うんですけど、みんなで支えあいながらずっと一緒におったんで。毎日、生きてるってことを実感しながら、たぶんみんな触れあってたんやと思うんですよ。『俺たちはこうやって生かされてんねんから、頑張らなあかんよな、楽しまなあかんよな』って。だから(関係が)密になったんだと思う」。そして今回は、片桐さんも新加入。片桐さんとの初めての共演に「お笑い界の先輩でもありますから、僕の中で違うスイッチが入ります」と石田さんは明かす。

 「片桐さんに『石田そんなもんか』って思われたくない。『それぐらいしかできないなら、自分の演技はもうここでやめておこうかな』って思われたくないから、僕は全部受け止める体勢で。なんやったら、片桐さんよりも上を行くつもりでやらないとたぶんダメだと思う。どんだけ太刀打ちできるか分からないですけど、片桐さんの引き出しを全部開けたいですね。無理ですけど(笑い)、でもより多くの引き出しを開けたいです」と力を込める。念願の再演を前に、気合十分。「脚本がいいし、演出すごいし、キャストも面白い人ばっかりやし、ちょっと自信なくします(笑い)」とやや自嘲気味に語りながらも、インタビューの最後に「まあ、もう成功は決まってますけどね」とよどみなく話すその言葉に、確かな自信がうかがえた。

 「スピリチュアルな1日」は、東京公演が6月13~24日に「あうるすぽっと」(東京都豊島区)で、大阪公演が6月29日~7月1日に「ABCホール」(大阪市福島区)、仙台公演が7月7日~8日に「仙台市青年文化センター シアターホール」(仙台市青葉区)で上演予定(大阪公演は完売)。

 ◇プロフィル

 いしだ・あきら。80年2月20日生まれ、大阪府出身。井上裕介とともに00年に「NON STYLE」を結成。「爆笑オンエアバトル」第9代チャンピオンに輝き、08年には「M−1グランプリ」王者を獲得。10年には「S−1バトル」初代グランドチャンピオンを獲得。その年の12月に「S−1バトル」の賞金1億円を元手に「さいたまスーパーアリーナ」(さいたま市中央区)で無料ライブ「NON COIN LIVE」を開催し1万2100人動員した。舞台は09年の「恋愛戯曲」、10年の「Barアンラッキーを不幸が笑う」に続いて、今作が3度目。さらに現在は、NON STYLEのライブツアー「吉本興業創業100周年記念 NON STYLE LIVE~カウントダウンまでのカウントダウンツアー~」を13年まで開催中。

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