岡田准一:安井算哲役は「運命」 天文イヤーの公開は「ミラクル!」 「天地明察」会見

「天地明察」製作報告記者会見に登場した滝田洋二郎監督(左)と久石譲さん
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「天地明察」製作報告記者会見に登場した滝田洋二郎監督(左)と久石譲さん

 冲方丁(うぶかた・とう)さんの同名小説が原作の映画「天地明察」(滝田洋二郎監督、9月15日公開)の製作報告記者会見が15日、日本科学未来館(東京都江東区)で行われ、主人公・安井算哲(後の渋川春海)役を務める人気グループ「V6」の岡田准一さんらが登場。岡田さんは映画化が決まる前から冲方さんと原作についての対談をしていたことを明かし、「作品への思いをインタビュアーとして聞いていたので、まさか自分がやるとはというびっくり感と、聞いてしまった責任感もあり、運命を感じましたね」と話し、21日の金環日食をはじめ、「天文ゴールデンイヤー」といわれる12年の公開に「ミラクル! すごいときに公開できるんだな」と感慨深げに語った。

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 映画にちなんだプラネタリウムでの記者会見に、滝田監督は「映画の企画というものは、空の星をつかむようなもので、手を伸ばしても届かなかったり、つかんでも光ってくれなかったり、流れ星になってしまったり難しいものですが、今回はビッグな新星の“天地明察”に出合った」と星にかけて映画への思いを語った。

 会見には、原作者の冲方さんと音楽を手がける久石譲さんも登場。久石さんは「(オープニングを聴いて)デモ曲を作ったときに天体を見た感じ、最初に浮かんだ記憶があって、はじめに作った気持ちを今思い出しました。流していただいてうれしい」と笑顔を見せた。滝田組での仕事は「皆さん温かくてすごくいいんです。こういう空気を作っているのは滝田監督。海外に通じる方だというのは、感じでわかります。これからの日本の財産です」と絶賛した。作品については「岡田さんと毎日相談したから、安井算哲を魅力的に描けた。安井算哲の心情は、久石譲さんの音楽で大きく包んでいただいた。スタッフも頑張ってくれたので、渾身(こんしん)の作品になったと思います。少しでもたくさんの方に見ていただきたい」と力を込めた。

 役者として映画出演もしたという冲方さんは「数百年前の人間と同じもの(天体)を見ることができる物語にしたいと思っていましたので、全く違う角度からお互いにしかとらえようのない視点で一つの同じ作品を見たという意味でうれしく感無量です」と緊張しながら語った。撮影現場は「むちゃくちゃ怖かった。緊張感を崩しちゃいけない。大人をここまで緊張させる空間を、体験させていただきました」と話し、「帰り道は、『くそー! 負けたくない!』と思いました。(原作が)ノベライズと思われるんじゃないかという緊張感がありました。岡田さんの演技と文章では表現力が違いますが『くそー』と思いました」と独特の言い回しで映画の完成度を高さを表現した。

 原作は第31回吉川英治文学新人賞、10年の本屋大賞の受賞作品。江戸時代前期を舞台に、囲碁棋士の名門に生まれながら、和算に興味を示し、後に日本初の独自の暦となる「大和暦」を作り上げていく算哲が、不正確な古い暦を変えるために苦闘する……というストーリー。ヒロインの村瀬えん役に女優の宮崎あおいさん、算哲の理解者であり協力者である水戸藩主・水戸光圀役に中井貴一さん、会津藩主で算哲に改暦事業を命ずる名君・保科正之役に松本幸四郎さん、妹のえんと算哲を引き合わせる算術塾の主・村瀬義益役に佐藤隆太さんらが出演する。映画は9月15日に全国で公開。(毎日新聞デジタル)

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