注目映画紹介:「さあ帰ろう、ペダルをこいで」祖父と孫の絆、人生哲学をバックギャモンに込めた

(C)RFF INTERNATIONAL,PALLAS FILM,INFORG STUDIO,VERTIGO/EMOTIONFILM and DAKAR,2008 All rights Reserved.
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 「パパは出張中!」「アンダーグラウンド」の味わい深い顔のおじさん、名優ミキ・マノイロビッチさんが出演している「さあ帰ろう、ペダルをこいで」(ステファン・コマンダレフ監督)が12日、公開された。離れ離れに暮らしたおじいちゃんと孫が、旅路を通して家族の絆を取り戻すハートフルなブルガリアの作品だ。

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 07年、ドイツ。アレックス(カルロ・リューベックさん)は両親とともに故郷のブルガリアに帰る途中で交通事故に遭う。1人残されたアレックスは記憶を失っていた。祖父のバイ・ダン(マノイロビッチさん)が病院に駆けつけ、アレックスを無理やり退院させる。自転車で一緒に故郷に帰ろうというのだ。83年。アレックスは両親とともに、共産党政権下のブルガリアからイタリアを経由してドイツへと亡命した過去があった……という展開。

 おじいちゃんと孫がこぐタンデム(2人乗り)の自転車の旅。国家の歴史に翻弄(ほんろう)された苦悩の時代と、明るい日差しの下での旅路が交互に描かれる。おじいちゃん役の旧ユーゴスラビア出身のマノイロビッチさんが、孫の人生を導く師匠としての魅力が全開。いたずらっぽい少年の顔と対比された祖父の笑顔の中に、運命と戦ってきた歴史をにじませる。祖父と孫の絆、人生哲学をバックギャモンというボードゲームに込めた。旅の途中で出てくる音楽とダンスは、陽気でノリはいいが、どこか哀愁を帯び、西側からブルガリアを結ぶ旅路を肌で感じさせてくれる。12日からシネマート新宿(東京都新宿区)で公開中。19日からシネマート心斎橋(大阪市中央区)で公開。その後、全国で順次公開予定。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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