注目映画紹介:「紙兎ロペ」 幕あいの“ゆるアニ”が長編映画化 こまやかな技が利いている

(C)2012映画「紙兎ロペ」プロジェクト
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(C)2012映画「紙兎ロペ」プロジェクト

 シネコンの全国チェーン「TOHOシネマズ」で公開作品の幕あいに上映されていた、ゆる~いショートアニメーション「紙兎ロペ」がなんと長編映画化。「映画『紙兎ロペ』 つか、夏休みラスイチってマジっすか!?」が11日に公開される。下町を舞台に、うさぎのロペとリスのアキラ先輩の夏休み最後の1日が描かれている。2人(匹?)の珍道中は、もはやアドベンチャー! 知らないうちに事件に巻き込まれてしまう。

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 夏休みの最後の日を満喫しようと思ったロペとアキラ先輩。アキラ先輩は自由研究の宿題をやり残していた。さらに姉に「壊してしまったピアスを直してこい」と猛烈に怒られる。アキラ先輩とロペは図書館で自由研究を「ツチノコ探し」に決めて早速作業を開始。そのころ、怪盗団が美術館から秘宝「王妃の涙」を盗み出して逃走。アキラ先輩とロペは偶然その秘宝を拾ってしまい……という物語が展開する。

 ロペとアキラ先輩のゆる~い会話と、ふたりの「ハッハッハッハ……」という笑いになごんでいると、何やら事件が起て、警察まで出動! カーチェイスさえ“ゆるい”。しかし、ゆるいのは、あくまでも物語の内容とキャラだけ。物語の展開の仕方といい、東京都葛飾区を中心に実際の景色を基に描かれているという背景といい、こまやかな技が利いている。2人がガチャガチャを買う「林商店」の外壁のひびわれ、商店街のシャッターのさびつき、町に張り巡らされた電線、バスの中のつり革の動き……リアルな背景の中に、薄くペランとした動物たちの絵がのんびりと動くさまは、独特で個性的で面白い。ゆるい作風の裏側に、大勢のスタッフの丁寧な作業が感じられる。AKB48の篠田麻里子さんがアキラ先輩の姉役の声で出演。12日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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