朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第67回 シャルル・ペロー「長ぐつをはいた猫」

「長靴をはいた猫」作・シャルル ペロー(河出文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「長靴をはいた猫」作・シャルル ペロー(河出文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第67回はシャルル・ペロー「猫吉親方 またの名 長ぐつをはいた猫」だ。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 いよいよゴールデンウイークですね。

 せっかくのお休みですから「いろいろな場所にお出かけしよう!」と思っているんですけど、その一方でまとまった時間を使って図書館で借りた本を一気に読んでしまいたい……なんて、どちらを優先しようかちょっと迷ってしまったり(>_<)

 そんな長時間の読書のお供には飲み物が欠かせませんが、皆さんのお気に入りの飲み物はなんですか?

 朗読倶楽部の場合ですと、和洋問わないお茶・コーヒー全般が好きなみかえさんを筆頭に、ブラックコーヒー派の先生とミルクティー派の部長さん、そして私はというと……。

 4月29日から5月5日は緑茶週間、緑茶派の私にとって楽しみな時期です。

 この間には「夏も近づく八十八夜~」の茶摘み歌でおなじみ、「八十八夜」の日も入ります。

 平年は大体5月2日になる「八十八夜」は、「立春から88日目」を意味し、立夏を目前にして夏の準備を始めるこの日に摘んだお茶は縁起が良く、飲むと長生きできるとされているんですよ。

 ちなみにうるう年の今年は5月1日になるんですけど、この日は私もお茶摘み体験に出かける予定です。

 私の行くお茶畑では、茶摘み衣装も着られるようなので、今から楽しみなんです(^−^)

 ではここで、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部とある女の子の出会いのエピソード、第3回です。

 朗読倶楽部を訪ねてきた女の子、「甲原ちな」さんはなんと、みかえさんの妹さんでした。

 都心にある自宅から電車とバスを乗り継いでやってきたというちなさんの突然の来訪に、みかえさんも驚いた様子。

 一方、それまでにこにこしていた部長さんは、

 「入部希望者だと思って愛想よくしていた」

 「入部希望しなくてもどうにかして引っ張り込もうと考えていた」

 ……とのことで、彼女がみかえさんと違い自宅近くの学校に通っており、距離的に入部は無理(そもそも他校の時点で無理なのですが……)だと知ると、がっかりした様子でした。

 みかえさんに明るく接するちなさんを見て、今まで不機嫌そうに見えたのは人見知りしていただけだったのかな?と思ったのですが……。

 私たちが話しかけてみると、前と変わらず返事がなかったり、不機嫌そうだったり。

 その様子を見かねたみかえさんが、ちなさんを軽くたしなめたところ……。

 決して怒るような言い方ではなく、みかえさんらしい柔らかい姿勢での注意だったにもかかわらず。

 ちなさんの瞳から光るものがこぼれ始め……やがて、泣き出してしまったのです。

 意外な展開に私たちはびっくりしながらも、しばしの間、彼女をなだめることになったのです……というところで、今回はここまでです。

 次回でこのお話も一段落しますので、引き続きよろしくお願いしますね。

■しおりの本の小道 シャルル・ペロー「猫吉親方 またの名 長ぐつをはいた猫」

 こんにちは、今回はフランスの詩人、シャルル・ペローさんの「猫吉親方 またの名 長ぐつをはいた猫」をご紹介します。

 ペローさんの童話集「寓意のある昔話、またはコント集・がちょうおばさんの話」の中の一編として、1697年に発表されました。

 「猫吉親方」という呼び名は、1926年にこのお話を翻訳された楠山正雄さんの手によるものですが、他の翻訳がおおむね「先生」と訳しているのと比べると、より子供に親しみが持てそうな名前で良い感じですよね。

 「長ぐつをはいた猫」は日本でも有名な童話ですが、元はヨーロッパ地方に伝わる民話の一つなんです。

 この作品より60年以上前の1634年に発表されたイタリアの民話集「ペンタメローネ」では、「猫先生または長ぐつをはいた牡猫」として収録されていました。

 また、1812年にドイツで発表された「グリム童話」の初版でも「くつはき猫」として収録されていましたが、「ペンタメローネ」と内容が重複していたために第2版から削除されたというエピソードがあるんですよ。

 むかしむかし、あるところで、貧しい粉引き男が亡くなりました。

 残された財産は、粉引きの風車小屋、ロバ1頭、猫1匹の三つだけ。

 残された3人の息子たちはそれを年の順に分け合ったのですが、猫の主人になった末の息子は「猫をもらってもなんの役にも立たない」としょげかえってしまいました。

 ところが猫は、「袋と長ぐつを作ってくれれば、きっとだんなを、幸せしてあげます」と言うのです。

 彼はその言葉を信じる気にはなりませんでしたが、この猫がなかなか知恵が働くことを知っていたので、言われるままに袋と長ぐつを作ってあげました。

 こうして「猫吉親方」は、出来上がった大きな袋を首にかけ、長ぐつをはいて、とある場所へと出かけて行ったのです。

 さて、その目的は……?

 このお話では、最後に一つの教訓と猫に関する一つの秘密が明かされています。

 それが何なのかは……ぜひ読んで、確かめてみてくださいね。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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