森山直太朗:18曲に「ごった煮カオス感」 5枚目のアルバム「素敵なサムシング」発売

新作アルバム「素敵なサムシング」について語る森山直太朗さん
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新作アルバム「素敵なサムシング」について語る森山直太朗さん

 シンガー・ソングライターの森山直太朗さんが、5枚目のオリジナルアルバム「素敵なサムシング」を11日にリリースした。今年10月にデビュー10周年を迎えるにあたり、今後はメモリアルイヤーとしての活動を本格化。そんな森山さんに、新作の話、ルーツともいえる家庭環境などについて聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−ニューアルバム「素敵なサムシング」は18曲入りという大容量で、しかもいい意味で統一感がないですね。

 CDに入る分数ギリギリまで使ったっていう感じなんですけど、この量と、いろんなタイプの曲の“ごった煮のカオス感"というのは今までにはなかったかなって。とにかく枝葉を合わせるようなことではなく、どこかで違和感と好奇心が持てるもの、フッと笑えるか笑えないかっていうのが基準になってると思います。

 −−つれづれに思っていることを歌っている曲もあれば、物語的な作りのものや、情景の美しいものもあったり。

 そうですね。歌詞は、僕の高校時代の友だちでもある御徒町凧とのダブルネーム(共作)なんですけど、基本的には、自分たちがお茶しながら話してることの延長線上から生まれてくるもので。僕たちはサッカー部の先輩、後輩の付き合いで、彼が後輩なんですけど、例えば「そしてイニエスタ」という曲は、2人ともFCバルセロナというチームが好きで、好き過ぎてできちゃったみたいなところがあって。「昨日あの試合見た?」みたいな、そういう話をしてるときの原風景がそのまま曲になってる場合が多いですね。

 −−「これって何だろう?」っていうワードが多いですよね。「ヘポタイヤソング」の“ヘポタイヤ”って?とか。

 “ヘポタイヤ”は岡村靖幸さんの「だいすき」に出てくるフレーズですね。「“ヘポタイヤ"っていわれても意味分かんないよね」っていう感じがいいなって。あと、この曲はおおむね、ミリオンセラーを記録した曲の歌詞で、Aメロが構成されてるんです。山下達郎さんの「クリスマス・イブ」、Mr.Childrenの「Tomorrow never knows」、KANさんの「愛は勝つ」……などをお借りしてます。

 −−確かに、出だしの「♪きっと君は来ない~」ではアレッ!?と思いました(笑い)。ほかの楽曲も、本当にバラエティーに富む内容ですが、アルバムタイトル「素敵なサムシング」の意味は?

 実はこれは、本人不在のまま決まっちゃったという(笑い)。僕としては、サトームセンのCM(「♪すてきなサムシング~」という歌のフレーズが流れる関東ローカルCM)の話をしてしまえば一番てっとり早いんですけど、それに限定されない何かもありますし。

 −−ようは“すてきなサムシング"がある18曲ということですよね。

 そう取っていただけたら幸いですよね。

 −−今年は10周年イヤーということで、改めてお聞きしたいのですが、音楽一家(実母が歌手の森山良子さん、ムッシュかまやつさんは良子さんのいとこ)に育ったことで、逆にご自身が音楽の道を選ぶまでには葛藤があったりしたんですか?

 “葛藤"っていうとどこか少し奥歯がかゆいというか。結局言いわけを作りたかったんでしょうね。「家族が音楽を志しているから、俺だけは音楽の道には進みたくない」みたいな。自分が葛藤するように持っていってた感はあるなあって。

 −−良子さんは、今でも歌に関して直太朗さんにダメ出しをするほど厳しいそうですが、子どものころはどんなお母さんでした?

 とにかく自由な人なんで、車でどっかに行ったときとかに忘れられましたね。車に乗ってると思われてそのまま出発されて(笑い)。“置いていくんだ、スゴイな”って思いながらその車の後ろ姿を見てました。あとで、「ゴメンゴメン」って戻ってくるみたいな。

 −−強烈な思い出ですね(笑い)。また「おぎやはぎ」の小木博明さんが義兄にあたりますが、お兄さんとの印象的なエピソードは?

 小木さんって芸風的には“あんまり頑張らない”みたいなイメージがあるんですけど、一緒に旅行に行った時はコーディネーターとしての責任感がすごく強くて、朝6時半集合、夜中の1時までみたいな、みっちりスケジュールを組んで仕切ってくれますね。昨年はロサンゼルスとサンフランシスコ、今年はハワイに行ったりして。ただ自由時間が一切ないんで、そのへんはつらいんですけど(笑い)。

 −−楽しそうですね~。最後に10周年イヤーに対する意気込みをお願いします!

 こんな自分でも一応10年やりとげることができて、これからはこの10年を糧にして、もっともっと自分らしい活動をしていく、ということだと思います。今は、信頼のおける各セクションのスタッフたちとのセッションの中で化学反応を楽しんでいく、そんな時期ですね。

<プロフィル>

 1976年4月23日生まれ、東京都出身。02年10月にミニアルバム「乾いた唄は魚の餌にちょうどいい」でメジャーデビュー。翌年にシングル「さくら(独唱)」をリリース。初めてハマッたポップカルチャーは、巨人軍。「巨人軍の応援団になりたくてトランペットを始めたぐらい、大のジャイアンツファンでした。それが小学校2年生ぐらいのときで、そのころ少年野球も始めて。僕は中畑清(現・横浜DeNA監督)が大好きだったんで、後楽園球場(現・東京ドーム)に行って中畑の応援をずっとしてました」という。

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