注目映画紹介:「ポテチ」濱田岳、中村義洋監督タッグの短編新作 ユーモラスで心温まる作品

「ポテチ」の一場面 (C)2007 伊坂幸太郎/新潮社 (C)2012「ポテチ」製作委員会
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「ポテチ」の一場面 (C)2007 伊坂幸太郎/新潮社 (C)2012「ポテチ」製作委員会

 伊坂幸太郎さん原作の「フィッシュ・ストーリー」を映画化した中村義洋監督が、同書の短編を映画化した「ポテチ」が公開中だ。このタッグ、本当に強力で、濱田岳さんの主演、斉藤和義さんが音楽を担当。「アヒルと鴨のコインロッカー」「ゴールデンスランバー」のスタッフが集結し、震災後に企画、仙台でオールロケをした温かくてユーモラスな68分の作品だ。

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 空き巣を繰り返す今村(濱田さん)は、自分と同じ日に生まれたプロ野球選手・尾崎(阿部亮平さん)に特別な思いを抱いていた。同棲中の彼女・若葉(木村文乃さん)と一緒に、何を盗むわけでもなく尾崎の部屋に忍び込んだ今村だったが、突然電話がかかってくる。それは、尾崎に助けを求める女性の声だった。今村は尾崎に成り代わって、女性に会いに行く。若葉にとって、今村がなぜそんなに尾崎に執着しているのかが謎だった。そんなある日、兄貴分の黒澤(大森南朋さん)からある事実が明かされる……という展開。

 濱田さんは、二つとない独特の個性を持った俳優だ。どこか憎めない雰囲気と親しみやすさがにじみ出ている。主人公・今村は原作とは印象の違う青年として描かれているものの、そこは濱田さんの演技力を熟知した中村監督が、持ち味を生かし切って、映画を温かいものにしている。気弱だがジンワリと温かいこの青年には、何か秘密があるらしい。その秘密が分かったとき、これまで見てきたユーモラスな場面から温かな気持ちがあふれ出すだろう。短い映画だが、内容がギュッと詰まっている。7日から仙台で先行公開中。5月12日から全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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