三浦しをんさん:本屋大賞受賞者はマンガ好き「副賞10万つぎ込む」

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 小説「舟を編む」(光文社)で2012年本屋大賞を受賞した三浦しをんさん。09~11年に「手塚治虫文化賞」の選考委員を務めるなど“マンガ好き”で知られ、10日に東京都内で行われた授賞式では、副賞の図書カード10万円分の使い道を「マンガを買うと思います。毎日のように本屋でマンガの新刊を見ている。マンガにお金と時間をささげているので」と笑顔で話した。

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 三浦さんは76年東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。00年に就職活動をテーマとした「格闘する者に○」でデビュー。05年に「私が語りはじめた彼は」が山本周五郎賞候補、「むかしのはなし」が直木賞候補となり、06年に「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受賞した。同作は瑛太さんと松田龍平さんのダブル主演で映画化され11年4月に公開、続編の連続ドラマ化も決まっている。

 大賞受賞者には副賞として図書カードのほかに通信教育の「ユーキャン」から教育用教材が贈られるが、三浦さんは「パッチワーク入門講座」「日本大地図 全三巻」を選択した。三浦さんは「今、使っている地図帳はソ連が載っているものなので、ここらあたりで世界の最新情勢を知らないといけないと思ってお願いしました」と笑わせ、「パッチワークはやったことがなくて、『大草原の小さな家』で大きなベッドカバーとかを作っているのを見て、死ぬまで飽きないかな?と思った。じゅうたんくらいの大きなパッチワークを作りたいですね」と周囲を驚かせた。

 また、授賞式には前年の大賞受賞者の東川篤哉さんも登壇。東川さんは「僕はほとんどミステリーしか読まないのですが、『舟を編む』を読ませてもらい、非常に感銘を受けました。すばらしい作品であればあるほど、去年はあれでよかったのか?と思われるので、去年とっておいてよかったと思いました」とユーモアを交えながら栄誉をたたえ、「本屋大賞は受賞して終わりというわけではなく、とってからいろいろ大変です。三浦さんも体調に気をつけてください」と冗談めかした。

 2012年本屋大賞は10年12月1日~11年11月30日に刊行された日本の全小説を対象に、全国431書店560人の投票でノミネート作品10作を選出。大賞を選ぶ2次投票では302書店371人が投票し、三浦さんの「舟を編む」が選ばれた。また今回は特別企画として「翻訳小説部門」を設け、ドイツのフェルディナント・フォン・シ−ラッハさん著、酒寄進一さん訳のミステリー「犯罪」(東京創元社)が大賞に選ばれた。酒寄さんは授賞式に登場し「作家には書きたいという“業”がありますが、翻訳者には翻訳したいという“業”があります。これまで100タイトルくらい翻訳をしてきましたが、『犯罪』は忘れられない作品になりました」と受賞を喜んでいた。(毎日新聞デジタル)

 ◇最終順位(敬称略)

 1位「舟を編む」三浦しをん(光文社)▽2位「ジェノサイド」高野和明(角川書店)▽3位「ピエタ」大島真寿美(ポプラ社)▽4位「くちびるに歌を」中田永一(小学館)▽5位「人質の朗読会」小川洋子(中央公論新社)▽6位「ユリゴコロ」沼田まほかる(双葉社)▽7位「誰かが足りない」宮下奈都(双葉社)▽8位「ビブリア古書堂の事件手帖−栞子さんと奇妙な客人たち」三上延(アスキー・メディアワークス)▽9位「偉大なる、しゅららぼん」万城目学(集英社)▽10位「プリズム」百田尚樹(幻冬舎)

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