注目映画紹介:「スーパー・チューズデー 正義を売った日」 選挙のかけ引きをスリリングに描く

(C)2011 Ides Film Holdings,LLC
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 ジョージ・クルーニーさんが、出演のみならず製作、共同脚本、監督の4役兼ね、またレオナルド・ディカプリオさんが製作総指揮に名を連ねた「スーパー・チューズデー 正義を売った日」が公開中だ。多くの州で大統領選の予備選が行われるスーパーチューズデー前夜を舞台に、ライバルを出し抜こうと画策する選挙参謀たちの駆け引きやワナ、スキャンダルをスリリングに描く。

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 クルーニーさんが演じるのは、合衆国大統領の座を狙い、民主党予備選に出馬したペンシルベニア州知事のマイク・モリス役。クルーニーさん自身、「他の誰もやりたがらなかったから僕が演じたんだ。あまり楽しい役じゃないからね」と発言しているが、確かに、善人とはいい難い。一方、その知事の選挙参謀の一人、切れ者広報官・スティーブン・マイヤーズを演じるのは「ブルーバレンタイン」や「ドライブ」のライアン・ゴズリングさんで彼が演じるスティーブンが今作の主人公だ。ほかに、フィリップ・シーモア・ホフマンさん、ポール・ジアマッティさん、マリサ・トメイさんら個性派俳優が、ひと筋縄ではいかない人々を好演する。

 米人気ドラマ「ザ・ホワイトハウス」でも同様のことが描かれている回があったが、今作は100分ほどの短時間で表現されていることもあり密度が濃い。実際に政治家の選挙運動にスタッフとして参加した経歴を持つボー・ウィリモンさんの原作、共同脚本だけに、リアリティーは折り紙付きだ。

 生き馬の目を抜くような政治の世界にあって、いかに相手を出し抜き、のし上がるか。そのさまざまな裏工作を見せつけられ、政治の世界はやはり汚く恐ろしいものだと思い知らされる。同時に、さすが政治家(の卵)たちが考えることは緻密で狡猾(こうかつ)だと感心させられた。政治に興味がない人でも十分楽しめる。3月31日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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